子どもをきつく叱ってしまうことがある、私は厳しすぎるのかもしれない…… そんな悩みが、多くの親たちから番組に寄せられています。そこで、親子の心理にくわしい大日向雅美さん、教育学が専門の汐見稔幸さんにお話をうかがいました。
専門家: 大日向雅美(恵泉女学園大学 学長/発達心理学) 汐見稔幸(東京大学 名誉教授/教育学)
—— 子どもに厳しく怒り過ぎてしまったとき、子どもの気持ちが心配になります。子どもは、どんな気持ちになるのでしょう。
大人が思っている以上に、寂しくて怖くて不安
大日向雅美さん 私たち大人が思っている以上に、寂しくて怖くて不安な思いでいる、と考えてください。子どもは、ママ・パパに認めてもらいたい、褒めてもらいたい。怒られたとしても、まだ自分で「何がいけなかった」と判断もできない。怒られたら、悲しくなって、「ママ・パパにずっと嫌われるかもしれない、捨てられてしまうかもしれない」といった不安を抱えることもあります。 親は、意図せずして、つい言ってしまったことかもしれませんが、自分の発言に反省するときは、「この子は、自分が思っている以上に、つらくて、悲しくて、怖かったかもしれない」と考えてほしいと思います。
人柄を否定する叱り方をすると、子どもは自信を失う
汐見稔幸さん 怒られることは、子どもにとって自尊感情を踏み潰されるようなことです。とてもつらい時間なんです。でも、叱り方が儀式化していて、「お母さんは、ここまで言ったら終わる」「もう少し我慢したら、怒られる時間が終わる」と子どもにわかる、「怒りの終わり」が子どもにみえるような怒り方はいいと思います。 ところが、人柄を否定するような叱り方をすると、子どもはどうしていいのかわかりません。存在を否定されているようで、みじめさが何倍にもなります。子どもは自信を失ってしまいます。また叱られるんじゃないか、とおどおどしたタイプになっていってしまいます。
—— 叱るときには、どう気をつけたらいいのでしょうか?
子どもを大事に思っていることが伝わるように
大日向雅美さん 子どもを叱るときには、「あなたのことが好きなのよ、大事に思ってるのよ」という気持ちが伝わるように、必ず体のどこかを触ってあげましょう。子どもは、叱られているとき、細かい言葉は頭に入らないかもしれないけれど、スキンシップの感覚は覚えていて、安心感を持つことができるんです。
子どもの逃げ場所をつくる
汐見稔幸さん どこかで子どもの逃げ場所をつくることが大切です。ある程度叱ったら「今度から気をつけようね」と言ってあっさり終わったり、「そろそろ怒られ時間が終わる」と子どもにわかるような叱り方をする。そう心がけてみましょう。
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