子どもをきつく叱ってしまうことがある、私は厳しすぎるのかもしれない…… そんな悩みが、多くの親たちから番組に寄せられています。そこで、親子の心理にくわしい大日向雅美さんにお話をうかがいました。
専門家: 大日向雅美(恵泉女学園大学 学長/発達心理学)
—— 子どもを叱るときに、ひどい言葉になってしまう。そこまできつく言わなくていい、言ってもまだ理解できない。それがわかっているのに、なぜ止められないのでしょう。
子どもは「弱者」と自分自身をいさめて
大日向雅美さん 人は、昔からずっと、他人に対してひどい言葉を言ってきたと思います。 子育ての場には、それが凝縮されています。親は、子どもは何もできない、だから私が教えなければ、と思う。一方で、子どもは、反論できず、泣いたり、ふくれたりするぐらいしかできない、弱者です。弱者に対して、人間は、気をつけないと暴言を吐くなど、残酷になる一面があります。 ひどい言葉を言ってしまったと感じたら、人格は対等だとしても、子どもは「弱者」なんだ、と繰り返し自分自身をいさめましょう。
—— エスカレートしないようにするために、できることはありますか?
客観的になれる機会を
大日向雅美さん 自分のしたことに後悔しているけど、またやってしまいそう。そう思うのであれば、自分が怒っている様子を、スマホの音声メモなどで記録してみましょう。後で聞いてみると、自分の怒り狂った言葉や、冷静だったら絶対に言ってはいけない言葉がそこに記録されている。聞くことは、つらいと思います。でも、自分と子どもとのやりとりを第三者として聞くことで、客観的になれると思います。
—— 下の子の世話が大変で、上の子には自分でいろいろやってほしいと思うけど、やってくれない。そんなとき、つい上の子を厳しく叱ってしまうのは、どうしてでしょう。
親の心理として、上の子は実年齢プラス3〜4歳にみえる
大日向雅美さん 赤ちゃんが生まれて、上の子が3歳だとします。すると、親の心理として、上の子の年齢が、実際よりも3〜4歳ぐらい上にみえてしまいます。つまり、上の子もかわいいと思いつつ、6〜7歳ぐらいに感じるのです。そして、上の子への期待が、6〜7歳の子ども程度に高まります。でも、実際には3歳だから、できないことのほうが多いのです。心理的にイメージする年齢と、実際の年齢のギャップに気づいてほしいと思います。
—— では、どのように接したらいいでしょう?
できたことを褒める、甘えることも必要
大日向雅美さん よくないパターンは「お兄ちゃんのくせに、できないの?」です。できないことより、できたときに「さすがお姉ちゃんね、さすがお兄ちゃんね」と褒めてあげてください。期待通りに動いてくれないときは、「まだまだ、甘えたいよね」と声をかけてあげましょう。子どもの実年齢を思い出せば、まだ甘えさせることが必要な時期なんだ、と思えるものです。
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