もしも災害が発生したとき、家族の食事、特に子ども向けのメニューはどうしたらいいのでしょうか? 災害時にも、子どもがおいしく食べられる食事のアイデアを紹介します。
今回は、災害時に貴重となる水やエネルギーを節約できる調理法です。
講師: 今泉マユ子(管理栄養士) 東日本大震災をきっかけに、「防災食」を研究するようになり、多くの家族向けのレシピを提案してきた。
調理法の基本
紹介するのは、「ポリ袋に材料を入れて、湯せんをする」調理法です。断水などで水が不足しているときに、有効な調理方法になります。
ポイントは、ポリ袋の中の空気を抜いて真空に近い状態にすること。火の通りが早くなり、味もしみこみやすくなります。鍋を汚さないので、洗い物に使う水の節約にもなります。
必ず、熱に強い「高密度ポリエチレン製」のポリ袋を使いましょう。
湯せんするときは、ポリ袋が鍋の底に直接つかないように、耐熱皿を入れておきます。
水は、鍋の高さ3分の1まで入れます。
ごはんの炊き方
まずは、この調理法でごはんを炊いてみましょう。
清潔なポリ袋(高密度ポリエチレン製)に、米1合・水1カップを入れます。
袋の空気を抜きながらねじりあげ、口をしっかり結んでください。
ポリ袋を鍋に入れ、ふたをして火にかけます。
※鍋には耐熱皿を敷き、3分の1の高さまで水を入れておきます
沸騰したら、中火で20分間加熱します。
さらに、火を止めてふたをしたまま10分蒸らします。
これで、ごはんのできあがりです。
※鍋から取り出すときや袋を開けるときはやけどに注意しましょう
おかゆの炊き方
米の量を変えると、おかゆも作れます。
全がゆは、水1カップに対して米40グラム。
五分がゆなら、水1カップに対して米20グラムです。
おかずの作り方
続いて、おかずの例として、高野豆腐のマーボーを作ります。
材料
- マーボー豆腐のもと(レトルト)※1
- 1袋
- 高野豆腐※2
- 18コ
- 水
- カップ1
※1 マーボー豆腐のもとは、子どもでも食べられるように甘口を選びましょう
※2 高野豆腐は、湯もどし不要のひと口サイズのものを使います
作り方
清潔なポリ袋(高密度ポリエチレン製)に、マーボー豆腐のもと・高野豆腐・水を入れます。
袋の空気を抜きながらねじりあげ、口をしっかり結んでください。
ポリ袋を鍋に入れ、ふたをして火にかけます。
※鍋には耐熱皿を敷き、3分の1の高さまで水を入れておきます
沸騰したら、中火で15分加熱します。
さらに、火を止めてふたをしたまま10分蒸らしましょう。
高野豆腐にタレのうまみがたっぷりつまっておいしいですよ。
汁物の作り方
最後に、乾物を使ってみそ汁を作ります。
材料
- お好みの乾物
- 適量
- 顆粒(かりゅう)だしのもと(和風)
- 小さじ1/3
- みそ
- 小さじ2
- 水
- カップ1
作り方
清潔なポリ袋(高密度ポリエチレン製)に、お好みの乾物・顆粒(かりゅう)だし・みそ・水を入れます。
空気を抜きながら袋の口をしっかり結びます。
鍋に入れ、温まるまで加熱したらできあがりです。
※鍋には耐熱皿を敷き、3分の1の高さまで水を入れておきます
汁物は袋のままだとこぼれやすいので、必ず器に移しましょう。
※やけどに注意しましょう
この調理法なら、ごはん、おかず、汁物を同時に作ることができます。災害のとき貴重となる水やエネルギーの節約につながります。
災害は、知識だけでは乗り越えられません。実際に「作って食べてみる」ことを体験してみましょう。「聞いたことがある・知っている」ことを、「できる」ことに変えていただければと思います。
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