親の苦手なところは似てほしくない。遺伝の影響を教えて!
(3歳4か月と1歳1か月の男の子のママ)
行動遺伝学者に聞く 遺伝と環境の関係
これまで、のべ1万組のふたごを調べた結果、心や行動にも遺伝が深く関わっていることがわかりました。運動神経、学力、人の気持ちを察すること、努力する傾向が強いか弱いかなどにも、遺伝的影響は同じようにあります。
グラフのように、IQは50~60%、外向性などのパーソナリティは30~50%の遺伝の影響があることがわかっています。
能力や性格に遺伝が影響するというと、「この親にしてこの子あり」「かえるの子はかえる」のように、親の能力や性格をそのまま受け継ぐかのように受け止めがちですが、人間の能力は何百何千という遺伝子の総合、総和として現れているものです。同じ親からでも無限に近い組み合わせが生じます。
父親・母親のもつ遺伝子の対の片方同士が組み合わさり、両親とは違う新しい組み合わせができるため、子どもの遺伝子が両親やきょうだいと同じ組み合わせになることはなく、子どもには異なる新しい遺伝的素質、新しい能力が備わっているといえます。親が苦手だからといって子どもも同じことが苦手になるとは限らないのです。
子どもの得意な能力は、「初めてやるのに、うまくできた」「最初はできなくても、続けていくうちに、ものすごく、ぐんと伸びた」というところに現れることがあります。特に子どもが小さいうちは、その子が「何に興味関心を向けるか」がヒントになります。
子どもが親の苦手を受け継ぐのではと心配するより、いま子どもが何に興味関心を持っているかに目を向けましょう。
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