【すくすくまとめ】冬の感染症 どう予防する?かかったらどうする?
冬は気温が低く、空気が乾燥しているため、子どもの免疫力や体力が落ちやすくなる季節。さらに、空気が乾燥するとウイルスや病原体が広がりやすくなり、子どもが感染症にかかりやすくなります。
今回は育児情報番組「すくすく子育て」でご紹介した、冬の感染症の予防法、かかったときの対策をまとめました。
専門家: 草川功(聖路加国際病院 小児科 医長/小児科医) 日沼千尋(東京女子医科大学 看護学部長/小児看護学) 堀成美(国立国際医療研究センター/看護師)
★感染症どう予防する?
感染している人が「せき」「くしゃみ」「会話」などをするときに、どうしても唾液などが飛び、そこから感染します。
インフルエンザ、RSウイルス感染症、マイコプラズマ感染症など
<空気感染>
空気中の病原体を吸い込むことで感染します。これらは、主にワクチンで予防します。
はしか、水ぼうそうなど
<接触感染>
病原体が付いたおもちゃをなめたり、おもちゃを触った手から口・目・鼻に入ったり、病原体に直接触ることで感染します。
ノロウイルス、ロタウイルスなどの感染性胃腸炎、RSウイルス感染症など
▼予防に効果的なのは「手洗い」
除菌グッズは大きな効果を期待しないようにしましょう。「手洗い」は効果が期待できて、すぐに実践できる予防法です。病原体は、触れた手から口や鼻を通して体に入ってくることが多いので、手洗いの効果が大きいのです。石けんを使って手を洗うことが理想ですが、石けんがない場合は水だけでも洗いましょう。洗った後に手で髪を触れたり、手を服で拭いたりすせずにきれいなハンカチやペーパータオルなどを使いましょう。(堀さん)
▼うがいができない子どもには「水分補給」を
小さい子はうがいができなくても、無理に教える必要はありません。口の中が乾燥してしまうと清潔が保てなくなるので、水分を補うだけでも意味があります。空気が乾燥しているときは、適度に水分をとるようにしましょう。(草川さん)
▼予防接種は家族みんなで!
予防接種により発症を完全に予防することは難しいといわれていますが、感染しても症状が軽くなります。インフルエンザの予防接種は、生後6か月から受けることができますが、子どもが小さく外出が少ない場合も、きょうだいや親などの家族が予防接種をして病原体を家に持ち込まないようにしましょう。(草川さん)
▼外出は感染リスクを下げることを考える
外出は、できるだけ感染しないように工夫してみましょう。例えば、人が少ない午前中の早い時間にお出かけする。人が混雑している時間帯より感染リスクは低くなると思います。また、手洗いをすることも大切です。手洗いのタイミングについては、外から帰ってきたとき、食事の前、トイレの後の3つを覚えておきましょう。(堀さん)
★子どもが感染症にかかったら…
▼感染症の症状が出たら、まずは何をする?
・子どもの熱が上がっているとき、悪寒があり手足が冷たいとき
→体を温める
・熱が上がりきった後
→室温を下げ、薄着にして体を冷やす(わきの下、首、足の付け根を冷やすと効果的)
・脱水症状にならないように、水、お茶、赤ちゃん用のイオン飲料などを少しずつ補給
・お風呂は、熱が高くないタイミングをみて、さっとシャワーを浴びる。体を温めるのではなく、汚れを落とすことを目的に。(日沼さん)
▼せきがひどいときは「水分補給&加湿」と「縦に抱っこ」
せきがひどいときは、たんを出しやすくするために、水分を補給して部屋を加湿します。赤ちゃんが苦しそうな場合は、縦に抱っこしてあげましょう。赤ちゃんは体に比べておなかの臓器が大きいので、立ててあげると横隔膜が下がり、呼吸が楽になるのです。(日沼さん)
▼汚物処理には「マスク・手袋・塩素系漂白剤」
感染している人が吐いたものや便を処理するときは、マスクと手袋を使って直接触れないようにすることが大切です。手袋はビニール袋と輪ゴムで代用してもかまいません。また、胃腸炎のウイルスの場合は、アルコールで消毒できないので注意してください。家庭用の塩素系漂白剤を薄めたものを使いましょう。(日沼さん)
※詳しくはこちらへ
「感染性胃腸炎を広げないための汚物処理法」
▼おう吐・下痢のあとのケアは?
吐き気がおさまってきたら、脱水症状を防ぐために少しずつ水分を補給します。水分補給は、スプーン1杯からが目安です。食欲が出てきたら、下痢の状態をみながら、のどごしがよく、軟らかくて食べやすいものを少しずつあげましょう。離乳食の場合は、ひとつ前の段階に戻します。ふだんから、「元気がないときでもこれだけは食べてくれる」ものを見つけておくとよいでしょう。ゼリーやプリンなど、子どもが好きなものでもよいと思います。(日沼さん)
▼夜間の救急病院受診のめやすは?
子どもに熱があっても、食事をきちんと食べて元気であれば、様子をみてもいいのではないかと思います。夜間でも救急に受診した方がよいのは、次のような症状がみられるときです。
・機嫌が悪く、ぐったりしている ・呼吸が苦しそう
・食べられない、飲めない ・激しく痛がる
・高熱が長引く
これ以外でも、3か月以下の赤ちゃんが38度以上の熱を出したときは、すぐに受診しましょう。(草川さん)
▼症状の記録が受診時に役立つ!写真や動画も活用を
いつから熱が出てどう変化したか、いつおう吐や下痢があったか、何を食べたかなどを記録しておくとよいでしょう。また、「お薬手帳」や、予防接種の履歴などがわかる「母子手帳」があった方がよいと思います。「昨日の夜に発疹が出た」「夜中に変なせきをしていた」のように、受診時に症状が確認できない場合は、症状を記録した写真や動画があると診断の助けとなります。(草川さん)
▼子どもが薬を飲まないときは?
子どもが食べるものであれば、混ぜてはいけないものはほとんどありません。気になる場合は、医師や薬剤師に相談してみてください。アイスは冷たくて甘いので、小さい子どもに薬を飲ませるときにおすすめすることも多々あります。冷ましたおみそ汁やスープでも大丈夫です。薬と混ぜる食べ物や飲み物は、スプーン1杯分ぐらいの小量にしておきましょう。子どもは、食事で満腹になると薬を飲んでくれないことや、無理に飲ませると吐いてしまうこともあります。そのような場合は、薬を飲ませた後に食事をあげてもよいでしょう。(日沼さん)
▼まわりにうつさないための「せき くしゃみ エチケット」
・人がいなければ、後ろを向いてする
・しゃがんで地面に向かってする
・電車の中など周りに人がいて身動きできないときは、服の中にする
「服の中にする」は最終手段となりますが、いずれも人に向かってせきやくしゃみをしないことが大切です。(堀さん)
いざというときにあわてないように、感染症に対する知識を身につけておきましょう。
▼さらに詳しく知りたい方はこちら
冬の感染症 予防するには?
冬の感染症 ホームケア
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