2人の姉妹を育てています。パパの仕事が忙しく、日中はワンオペ育児です。そんな状態で、ずっと子どもと過ごしていると、どうしてもイライラして、ちょっと子どもが言うことを聞かないだけで怒ってしまいます。以前は、そこまで怒ったことがなかったのに。自分に余裕が欲しいと思うことがよくあります。
子どもたちとうまく遊べないことにも悩んでいます。長女は絵本が大好きで、絵本を読めば機嫌がよくなり、遊びで困ることはありませんでした。でも、次女は絵本に興味を示さず、どう遊べば喜んでくれるのかわかりません。家事の忙しさもあり、子どもたちの相手ができないこともしばしばで、子どもたちとの関わりに全く自信が持てません。
私の親は厳しく、小さいころから怒られ過ぎたせいか、ずっと自分に自信がありませんでした。わが子には少しでも自信をつけてあげたいと思い、習いごとにも通わせています。でも、SNSで同年代の子どもたちが楽しそうにしている様子を見ると、自分の子育てがこれでよいのか不安に感じて、ますます自信をなくします。
どうしたら、子育てに自信が持てるようになるのか悩んでいます。
(3歳3か月と1歳4か月の女の子をもつママより)
自信が持てないのは現実が見えているから
回答:大日向雅美さん このお悩みは、いろいろな子育ての大変さの縮図のようです。 「ワンオペ育児」を仕事で例えるなら、難しい工事現場のリーダーを経験がない新人に任せて「ひとりでやりなさい、失敗は許されない」と要求しているようなもので、ありえないほど大変なことです。この状況で自信が持てるとするなら、それは現実を見ていないということです。現実が見えないと、そこからの解決策も出てきません。ママが「つらい、自信がない」と思うのは、ある意味当たり前です。だからこそ、次の一歩を踏み出せるのではないかと思います。
「よき母親」という既成概念が親自身の内面にこびりついている
回答:水無田気流さん 育児や家事だけで手一杯なのに、同時に周りの人たちを和ませる笑顔でいて、会話術にたけて。どう考えても無理なことなのに「できて当たり前」だと思われてしまっています。そんな「よき母親」という既成概念が、親自身の内面にもこびりついているのではないでしょうか。
多くのママ・パパが、「いい親」を目指してもなかなかなれないというつらさを抱えています。特に「カッとなって感情的に子どもを叱ってしまう」という悩みが多く寄せられました。感情的になることはよくないのでしょうか?
私自身も感情的になったことを反省している
回答:水無田気流さん 私自身、子どもに感情的になって怒ってしまうことがあります。例えば、私が大事にしていたものを、子どものいたずらで失くされて、すごく怒ったことがありました。でも、そのときのことを子どもに聞くと「怒られた理由はわからないけど、ママが怖かった」としか覚えていませんでした。感情的になっても、お説教の意味がないのだろうかと悩んで反省しました。
強い感情を人からもらうメリットもある
回答:大日向雅美さん 親になって「自分がこんなに怒るとは思わなかった」と感じる、これは、今の若いママたちの典型です。親になるまで、あまり怒らないで過ごせている人が多いので、親になってはじめて思い通りにならないことがたくさん出てきて、それでカッと怒ってしまうのです。でも、私たちは感情の生き物です。子どもが親の“感情”を受けて「理由はわからないけど、ママは本当に悲しんで怒っていた、もう怒らせたらいけないんだ」と思えるのはすばらしいことだと思います。強いエネルギーを人からもらうことのメリットもあるのです。
子どものころ、親に怒られて「もう帰ってくるな」と家の外に出されてショックなことがありました。でも、「本当に家に入れないことはないだろう」とも感じていました。
「感情を込めて怒る」と「感情的に怒る」の線を引く
回答:大日向雅美さん すごく怒られても「家に入れてもらえなくなることはない」と感じるのは、そこに信頼があったということです。安心しているから感情を爆発できるのです。 エネルギーを伝えること、感情を込めることは大切です。ただ、感情的に叱ることは、必ずしも声を大きくすることだけではありません。何も言わずに無視をすることは、声を大きくするよりも相手の人格を傷つけ、意図的に苦しめようとする感情的な対応です。関係ないことを芋づる式に引きずり出して、ねちねち怒ることもよくありません。「感情を込めて怒る」と「感情的に怒る」の違いを、どこかで落ち着いたときに線引きできるとよいのではないでしょうか。
子どもを感情的に叱ってしまい「親としてちゃんとできていない、今のままでは親失格」だと自己嫌悪に陥り、子育てに自信を失っているママやパパがいます。親に厳しくしつけられたため、自分に自信が持てなくなったと感じている方もいます。どうすれば、親は自分の子育てに、そして自分に自信が持てるようになるのでしょうか?
子育てに自信がない母親は先進8か国のうち日本がいちばん多い
回答:水無田気流さん 先進8か国の調査で「子育てに自信がない」と答えた母親の割合は、日本がいちばん多く、たくさんの人が自信を持てずに悩んでいるのです。そして、なぜか「しつけ」を「子どもをコントロールして管理すること」だという意識がとても強い。子どもは非理性的なものなので、そもそもコントロールが失敗することのほうが多いはずです。親の中に、コントロールできないのに、しないといけないというジレンマがあるのかもしれません。
自信がないから謙虚になれる
回答:大日向雅美さん 「自信が持てない」ことは、ひとつの大きなテーマだと思います。私自身は子育てに自信が持てなかった。「ちゃんと育ってくれるかな」「仕事をしながらの子育ては大丈夫かな」と、いつも不安だらけで過ごしていました。逆に、自信にあふれている親のほうが、一緒にいると居心地の悪さを感じます。自信がないから、謙虚になって、周りの人の意見を聞くことができると思います。 また、自信がないから素直に謝ることもできます。「ママ、間違えちゃったかな、ごめんね」と言えるのです。ある意味、本当の自己肯定感かもしれません。
過去は今が作る
回答:大日向雅美さん 「親が厳しかったから自信が持てない」のは、ある程度真実だと思います。でも「過去は今が作る」という言葉もあります。確かに、親には厳しい面があったかもしれないけど、好きなおかずを作ってくれたり、洗濯をしてくれたり、学校に通わせてくれたり、優しい面もあったはずです。今、“どちらの過去を見るか”なのです。優しい面も見ることで「私はこれだけ親に愛されていたんだ」と感じて、もう一歩前に向かっていこうと思えるのです。
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