4歳の女の子をもつママからのお悩み。
娘さん、2歳9か月のときに「自閉症スペクトラム」だと診断され、4歳になった今は普通の保育園に通っています。
友だちとの距離感はどのように教えればいい?
保育園の先生の協力もあり、集団生活もうまくいっているようです。
しかし、興奮すると、友だちに抱きついたり、キスをしてしまったりと、友だちとの距離感がわからないようです。
距離の取り方はどのように教えたらいいのでしょうか?
まずは周りの理解を得ることから
回答:榊原 洋一さん
自閉症スペクトラムの子は、周りの人の気持ちが読むことが苦手です。友だちが「嫌だな」と感じている表情をしていても、その表情から「嫌だ」と思っていることを理解しづらいのです。
また、感情の起伏が激しいため、昔の出来事を思い出して、記憶だけで興奮してしまうことがあります。
まずは、これらの特徴を周りの人が理解することが大前提です。
その上で、こういう時はこうしないんだよ、ということを教えて、経験として覚えていくことが大事です。
ただ、自閉症スペクトラムの子に教えるときは、ダメだということを伝えるだけではなく、抱きついてはダメな理由を伝えながら、「抱きつかないでね」と伝えてください。
気持ちを言語化してあげる
回答:星山 麻木さん
相手がどのように考えているかを読み取ることが苦手です。
「いま、相手の子は嫌だと思っているみたいだよ」「嫌だと思っているみたいだから、もうちょっと待ってあげようね」というように相手の子の気持ちを言葉にして伝えてあげましょう。
その際、自分の子の気持ちも言葉にしてあげた方がいいです。「相手の子のことが大好きなんだよね」「抱きつきたかったんだよね」というように、気持ちを通訳してあげましょう。これを丁寧に繰り返すことで、だんだん言葉と表情が結びついてきて、状況をよく理解できるようになります。
自閉症スペクトラムの子をもつパパ・ママの経験談(小学3年の二男が保育園年長のときに自閉症スペクトラムと診断)
子どもが小学校に入ってからの出来事です。
担任の先生の顔に息を吹きかけていたようで、「息を吹きかけるのはどうしてですかね。」と先生から連絡を受けました。
子どもがリラックスしていて、平常心のときに、「ママやパパ、お兄ちゃんには吹きかけてもいいけど、他の人はちょっと嫌みたいだからやめようね。」と伝えてみました。
その後、先生からの連絡もないため、息を吹きかけるのが収まったのではないかと思っています。
発達障害のある子にとっては周囲の理解と対応が大事なポイントです。
もうすぐ小学校入学。どのように新しい環境に慣れさせればいい?
再来年、小学校に入学して、これまでとは環境が変わってしまいます。
学校に馴染めるかどうか不安です。
保育園では、担任の先生が変わっただけで、トイレに行きたいなど言いたいことをと言い出せないことがよくあったようで、とても不安に思っています。
小学校の先生に相談する
回答:榊原 洋一さん
現在の日本は、発達障害の子とそうでない子をできる限り同じ場所で勉強させようという「インクルーシブ教育」になってきています。ですから、小学校の先生たちも発達障害の子にはどのような対応をすればいいのかをよく勉強しています。不安なことがあれば、先生に相談してください。
集団生活については、保育士さんや幼稚園の先生がよく見ています。その方々からみた課題、子どもの行動特性などを、小学校の先生に伝えると、適切な方法で対応してくれるようになると思います。
体験入学などで自分の目で確認
回答:星山 麻木さん
学校ごとに雰囲気は違います。
学校公開、体験入学などを利用して、実際に自分の目で学校を確認することが大切です。
その際、その学校の先生や生徒の表情を見るようにしてください。みんながよく笑っているような学校がいいと思いますよ。先生同士でのコミュニケーションが取れていることも大事なポイントです。先生たちがチームで支えあっているかということにも目を向けてみてください。
発達障害は周りの理解も必要です。保護者同士でのサポートができる環境であるかを聞いておくといいと思います。
自閉症スペクトラムの子をもつパパ・ママの経験談(小学3年の二男が保育園年長のときに自閉症スペクトラムと診断)
息子の場合は、体験学習をした後、入学式の1週間ほど前に、5日ほど学校に連れて行き、慣れさせるようにしました。
また、教室に連れていき、学校で困ったときの対応を、子どもと一緒に予習しました。例えば、困ったときは「ピアノの下に隠れよう」「ロッカーに入ろう」のように相談しておくと、先生方にも気づいてもらいやすくなります。
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