第1回 おっぱい足りてる?コーヒー飲んだらだめ?~授乳の心配~
母乳で赤ちゃんを育てているママさんは、「おっぱいの量は足りてるの?」「コーヒーや薬は母乳にどれくらい影響あるの?」などいろいろ母乳に関して気にされていると思います。
また、ミルクを飲ませているママさんも、「ほ乳びんを嫌がって飲んでくれない」「飲むだけ飲ませても大丈夫?」など、こちらも気になることがあるのではないでしょうか。
NHK育児番組「すくすく子育て」の解説から、授乳について確認して、不安を解消しましょう。解説をいただいたのは、こちらの2名の方々です。
加部一彦さん(愛育病院新生児科部長・小児科医)
笠井靖代さん(日本赤十字社医療センター産婦人科副部長)
私のおっぱい、足りてるの!?
はじめて母乳で育てる時には、どんなことでも不安になってしまいますよね。
特に母乳は実際にどれくらいの量を飲んでいるか、ほ乳びんのように明確に量れませんから、量についての不安があるかと思います。特に赤ちゃんに泣かれると、「おっぱい足りてないのかもしれない」と思ってしまうママが多いと思います。
どのようにして母乳が足りているか確認すれば良いのでしょうか。
【足りているかは赤ちゃんの体重の増え方で見る】
(解説:加部一彦さん)
おっぱいが張っていないときはどうしても母乳がたくさん出ないので、赤ちゃんは中途半端にお腹が満たされた状態になり、もっと欲しくなりぐずるのではないでしょうか。栄養面でいえば、体重が一定の割合で増えていれば大きな心配はありません。
【母乳づくりは赤ちゃんとの共同作業】
(解説:笠井康代さん)
おっぱいは赤ちゃんにしっかり吸わせて、空になるとまた作られます。授乳のときにしっかり吸わせると次の授乳でもおっぱいが出てくるようになってきます。あとはお母さんが睡眠を十分とって、リラックスして授乳することも大切です。
赤ちゃんが泣く理由は、お腹がすいているからとは限りません。抱っこして欲しい、話しかけて欲しい、などいろいろあるので、「おっぱいが足りないから」と心配することはないのですよ。
コーヒーや薬、母乳に影響ある?
母乳で育てているママは、ママの食べ物も心配になりますよね。
カフェインが入ったものは母乳に良くないと言いますし、たまにはお酒だって飲みたい日もあるでしょう。また、体調が悪く薬を飲みたい場合でも、心配で我慢してしまうママもいるのではないでしょうか?
ママが飲むカフェインや薬が、どの程度赤ちゃんに影響があるのか、確認してみましょう。
『お母さんがストレスをためない程度に、ある程度なら食べても大丈夫』
(解説:加部一彦さん)
お母さんの食事が母乳に対してまったく影響がないとは言い切れません。ただ、お母さんが食べた量のカフェインや糖分がそのまま出てくるわけではありません。極端にたくさん食べたりしなければ心配はありません。
『量や頻度に気をつけて、気になる場合は時間をあけて授乳』
(解説:笠井靖代さん)
カレーなど辛いものでも毎日食べるわけではないので、ちょっと味がついたからといって、それで赤ちゃんが母乳嫌いになってしまう、ということはありません。お酒も母乳に出ますが、1日1杯くらいならそれほど問題ありません。お酒を飲む場合は、授乳のあとにして、次の授乳まで少し時間をあけるようにすると、体内の成分が分解されていきます。それでも母乳への影響が気になる場合は、おっぱいをあげる前に搾乳して影響のありそうな母乳は捨ててください。
また、授乳中のママの薬も気になるかもしれません。
目薬、湿布薬、点鼻薬などの外用薬のほとんどは、飲み薬に比べるとお母さんの血液中から母乳に移行する成分はごくわずか。歯科治療の局所麻酔も心配しなくても大丈夫です
内服薬についても、大ざっぱに言ってほとんどの市販の薬は心配ありませんが、一部に気をつけたほうが良いものもあるので、心配な場合は医師や薬剤師に相談するといいでしょう。また、薬を飲んでから30分くらいで血液中に薬の成分がまわり、それが母乳に移行するので、少しでも影響を小さくしたい、という場合には、授乳をすませてから薬を飲むというのもひとつの工夫です。
ほ乳びんを嫌がります。どうすれば飲んでくれるのでしょうか?
母乳からミルクに切り替えると、この悩みが出てくるママは多いですよね。
ミルクを飲んでくれないと困りますし、母乳と両方あげていると、いつまでも母乳をやめられなくなるのでは?なんて不安も出てきます。どのように、ミルクに切り替えるのが良い方法なのでしょうか。
『おっぱい以外のものに慣れさせる移行期が必要』
(解説:加部一彦さん)
ずっとお母さんのおっぱいだけあげている場合や離乳食が始まっていない子の場合は、まだおっぱい以外のものに慣れていないため、「明日急に切り替える」ということはできません。赤ちゃんが嫌がる時は避けて、試したり止めたりしながらだんだん慣らしていく必要があります。
また、ある程度月齢が上のお子さんの場合、「ちょっと吸っただけで出てくるほうがいい」や、「いっぱい吸って出てくる方がいい」など吸い方の好みもでてきます。ほ乳びんの乳首にも硬さ、柔らかさがいろいろあるので、赤ちゃんの吸い方にあったものを見つけてあげるといいでしょう。
『「ほ乳びん」であげる人が「おっぱいをあげる人」と同じだと難しい』
(解説:笠井靖代さん)
保育園に預ける場合、おっぱいをくれる人がいなければ赤ちゃんは、「ほ乳びんで飲む」か「食べ物がない状態をガマンする」かのどちらかを選ばなくてはなりません。赤ちゃんはそういう状況でもうまく適応していく力を持っています。いつもおっぱいをあげているママがほ乳びんであげようとしてもうまくいかない場合は、ほ乳びんはパパに担当してもらうなどするのもいいですね。
離乳食をはじめているのに、ミルクをたくさん飲んでしまいます。大丈夫ですか?
離乳食をはじめた頃は、離乳食の食べ具合が不安になることがありますよね。
離乳食をちゃんと食べてくれれば安心ですが、あまり食べてくれなかったり、逆にちゃんと食べているのに、ミルクを予想以上に飲んでしまったりする場合もあると思います。
離乳食とミルクのバランスをどう考えれば良いのでしょうか。
『ミルクは標準量を目安にして、徐々に食事に重点を移しましょう』
(解説:加部一彦さん)
母乳はいつまでも際限なく出るようなものではないので、一般的に「欲しがるだけ」という言われ方をしますが、ミルクはそうした限度がありません。離乳食がはじまっている場合には、基本的には標準量をベースにして、今後は離乳食を増やしていくようにしてください。
『ミルクの授乳も抱っこで。赤ちゃんに安心感を与え、飲み過ぎを防ぐ効果も』
(解説:笠井靖代さん)
ミルクをあげるときも、抱っこで授乳することで赤ちゃんに安心感が得られ、飲み過ぎを防ぐことにもつながります。抱っこをしたり、友達と遊ばせたりするなど、他の形で赤ちゃんの欲求を満たしてあげるといいですね。今後、離乳食が少しずつ増えていけば、ミルクを欲しがる量も減ってくると思います。
今回の特集は、いかがでしたでしょうか。
「授乳」に関する不安や悩みが少しでも軽減できていれば幸いです。
次回は、「赤ちゃんの耳・鼻ケア」について解説しますので、次回もご覧ください。
赤ちゃんの健康特集
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