性格は生まれつきのもの?
しつけや経験でどれだけ変わるの?
今回は子どもの心がどのように発達するのか、その基本を学びます。
講師:榊原 洋一(お茶の水女子大学副学長・小児科医) 子どもの成長はうれしいけれど、疑問や不安もいっぱいありますよね。 子どもの発達の基本を知って、子育てを前向きに楽しみましょう!
性格は「生まれつき」+「経験」
子どもの心や性格には、生まれつきの部分と経験によって形づくられる部分があります。
優しいとか引っ込み思案といった生まれつきの性質があり、その上に一人ひとりの経験が加わって、性格が出来上がっていきます。
同じものを見て、社会性を身につける
人の気持ちを理解する子になってほしいというのは親として共通の願いです。
では、こうした力はどのように発達するのでしょう。
人間は「社会性のある動物」と言われますが、この「社会性」とは人の気持ちを理解する能力のことです。
小さな子どもは、まず親と同じものを見て「視線を共有する」ことで、こうした能力を徐々に養っていきます。
たとえば道で犬を見たとき、親の視線を追って「この人は犬を見ている。犬に関心を向けている」と理解します。
同じものを一緒に見るという経験が、相手の心を予測することにつながり、人の気持ちを理解して社会性を身につけていくことができるのです。
人の気持ちを理解し、人間関係に対応できるのは5歳くらいから
視線を共有して同じものを見ることは、人の心を予測することにつながります。
では何歳くらいから人の心の動きを予測して考えることが出来るのでしょう。
そこで、3歳、4歳、5歳の子どもたちに簡単な心理学の実験に参加してもらいました。
【実験内容】
子どもに絵を見せながら状況を説明し、考えてもらいました。
絵1:女の子が、遊んでいたボールを箱にしまって部屋を出ます。
絵2:次に男の子がやってきて箱の中のボールをバッグに隠し、部屋を出ました。
絵3:その後、戻ってきた女の子がボールを探すとき、箱とバッグのどちらを先に探すでしょうか?
答えは「箱」。
女の子の気持ちを考えると、自分がしまったはずの箱の中を先に探すと予測するのは簡単なようですが、実験の結果、3歳と4歳ではほとんどの子どもが「バッグ」と答えています。
一方、5歳の子どもでは10人中7人の子どもが「箱」と答えられました。
小さな子どもが友だちと遊んでいてもめたとき、
「そんなことをしたらお友だちが悲しいでしょ」
「お友だちが痛いでしょ」
と言っても、2~3歳程度の子どもにはわかりません。
4歳か5歳くらいから少しずつ他人の心を理解できるようになり、徐々に複雑な人間関係にも対応できるようになっていきます。
小さな子どもは、心もまだ発達途中。
大人のように考えることはできません。
しつけをしたり叱ったりするときには、そのことを念頭において接してあげることが必要ですね。
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