講師:草川 功(聖路加国際病院小児科医長) 冬は感染症が流行する季節。かぜによる発熱、下痢やおう吐など心配ですよね。 かぜに似た症状でも抵抗力の弱い乳幼児は大人に比べて重症化しやすく、早めの対処が必要です。とくにこの時期に気をつけたい病気について知っておきましょう。
「溶連菌(ようれんきん)感染症」
冬から春先にかけて流行するのが「溶連菌(ようれんきん)感染症」です。
溶血性連鎖球菌(ようけつせい れんさきゅうきん)という細菌に感染することで起こる病気で、4歳~7歳くらいの子どもに多く見られます。
溶連菌は、くしゃみやせきにより、人から人へ感染します。そのため学校で流行することが多いです。
▼症状
のどの痛み、38℃~39℃ほどの突然の高熱から始まります。
その後、細かい赤い発疹が全身に広がるのが特徴です。
また、舌に現れる特徴として「いちご舌(ぜつ)」と言われる症状があります。
舌には、普通の状態でも、ぽつぽつとつぶつぶがついています。それらが、どんどん大きくなり、いわゆる、イチゴの表面みたいにつぶつぶが目立ち、舌全体が赤くなってくる状態のことです。
▼対処法
小児科を受診してください。
受診すると、抗生物質による治療を行います。通常、薬を飲み始めてから、2~3日で症状は治まります。しかし、薬は自己判断でやめないようにしてください。
症状が治まっても、細菌が死滅したわけでありません。生き残った細菌で再発します。
薬は通常10日~14日分処方されます。処方された薬は最後まで飲みきるようにしましょう。
▼のどを痛がる子どもへの食事
のどを痛がる子どもには、食事にも気をつけてあげましょう。
荒れたのどを刺激しないように、のどごしがよく、消化のよい食べ物を与えてあげてください。
【消化のよい食べ物の例】
ポタージュスープ、おかゆ、ヨーグルト、プリン、煮込んだ野菜、豆腐、茶わん蒸し、など
Q&A
「溶連菌感染症」は保育園を休ませなくてはいけないと言われました。いつ登園できる?
「溶連菌感染症」は流行を防ぐために幼稚園や保育園への登園が停止される病気のひとつです。このような病気は「学校感染症」などと呼ばれ、「インフルエンザ」「感染性胃腸炎」なども含まれます。
「溶連菌感染症」の場合は、治療として抗生剤を飲み始めると、熱が下がります。熱が下がってから、24時間以上経っていれば、登園登校が可能になりますが、かかりつけの医師にも相談しましょう。
「溶連菌感染症」をはじめ、感染症の多くはせきや、くしゃみに含まれるウイルスや細菌を吸い込むことで感染する「飛沫感染」。
かかったときには、マスクをつけて他の人にうつさない配慮も大切です。エチケットを守って、みんなで感染症を予防しましょう。
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