冬にかかりやすい病気(3)おなかの病気

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2019/11/20

出典:まいにちスクスク[放送日]2019/11/20[再放送]2019/11/27

講師:草川 功(聖路加国際病院小児科医長) 

冬は感染症が流行する季節。かぜによる発熱、下痢やおう吐など心配ですよね。
かぜに似た症状でも抵抗力の弱い乳幼児は大人に比べて重症化しやすく、早めの対処が必要です。とくにこの時期に気をつけたい病気について知っておきましょう。

ロタウイルス感染症

乳幼児がかかる胃腸炎といえば、「感染性胃腸炎」。
その中でも、感染力が強いのが、「ロタウイルス感染症」です。
発症しやすいのは、生後6か月~2歳の乳幼児。5歳までにほぼすべての子どもがかかると言われています。

▼症状

はげしいおう吐や下痢、発熱。

ロタウイルス感染症の下痢の特徴は、米のとぎ汁のような白い水っぽい便です。
色の目安は、母子健康手帳の便色カードにある、以下の色を参考にしてください。


※本来は「胆道閉鎖症」を早期発見するためのものです

下の写真は、「ロタウイルス感染症」にかかったお子さんの便に見立てたもので、これで約1mlです。この中にロタウイルスがおよそ1億~100億入っていると言われています。
実際は、わずか10個程度のウイルスがあれば、感染してしまうため、ロタウイルスは非常に強い感染力だと言えます。

病気が進むと、脳症を引き起こす可能性があります。注意してください。

▼受診の目安

以下の場合は、受診してください。
・おう吐や吐き気が続く場合
・飲めない、食べられない状況が続く場合

「けいれん」を起こした場合は、緊急を要します。救急車を要請してください。


ノロウイルス感染症

ノロウイルスに汚染された生ガキなどの2枚貝が原因の食中毒です。

▼症状

おう吐、下痢、発熱。
「ロタウイルス感染症」とは違い、便の色は白くなりません。

▼かかった場合の家での対処法

おう吐や下痢が続くと、体の水分が急激に少なくなってしまいます。
経口補水液などを少しずつ与えて、脱水症状に気をつけてください。
ただし、水分を取りすぎると、戻すこともあるため、注意して与えましょう。


「ロタウイルス感染症」「ノロウイルス感染症」の二次感染について

「ロタウイルス感染症」「ノロウイルス感染症」ともに、患者の便や、吐しゃ物の中のウイルスが体内に入って感染します。
乾燥して空気中に飛んだウイルスが口に入ったり、手についたウイルスが知らないうちに口に入ったりして感染します。

部屋の中で吐いてしまった場合、消毒してきちんと処理してください。

▼汚物の処理の仕方

【準備するもの】
・捨てても良いエプロン
・マスク
・手袋
汚物に直接触れないように注意してください。

【処理の仕方】
(1)汚物の中のウイルスが飛び散らないように、まずペーパータオルなどで静かに覆う。

(2)覆ったペーパータオルの上から塩素系漂白剤を薄めたものをたっぷりとスプレーする。
〔POINT〕「ロタウイルス」「ノロウイルス」の処理には塩素系漂白剤が有効です。いわゆる消毒用のアルコールでは効果がないと言われています。

(3)スプレーした後は、包み込むように静かに汚物を取り除く。

(4)取り除いた後は、さらに床をもう一度浸すようにスプレーし、ふき取る。
ふき取ったら、さらに水拭きをしてください。


(5)使ったエプロン、マスク、手袋ともにビニール袋に密閉して廃棄する。


手洗いはウイルスの数を減らす最も有効な方法です。
石鹸を十分泡立て、ウイルスを流水でよく洗い流すようにしましょう。


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