夜中に突然火がついたように泣き出し、パパやママを疲労困憊させる赤ちゃんの夜泣き。どうして泣くの?なぜ泣き止まないの?昼間はあんなにご機嫌だったのに・・・・・・夜泣きは、赤ちゃんのことが最も分からなくなる瞬間です。 育児の最難関とも言われる赤ちゃんの「夜泣き」にスポットを当て、夜泣きの原因やさまざまな対処法、夜泣きの歴史などについて考えます。
榊原洋一(さかきはら よういち) お茶の水女子大学子ども発達教育研究センター教授 1951年生まれ。小児科医。専門は、小児科学、小児神経学、発達神経学、国際医療協力、育児学など。著書、訳書、監修書多数。
第2回 夜泣きって何?~夜泣きの原因を考える~
ギャーと火がついたように夜中に泣き出しては、眠っているパパやママを叩き起こし、夜な夜な苦しめる赤ちゃんの夜泣き。今回は、いよいよ夜泣きについて見ていきます。
夜泣きって何?
夜泣きは6か月以降の赤ちゃんによく見られ、一般的に、ピークは7~9か月、ほぼ2歳までには終わるものとされています。大抵の赤ちゃんは、4か月を超えると夜にまとめて寝るようになりますが、寝ている時間に急に覚醒して泣き出すのが夜泣きの特徴です。
泣き方はさまざまで、グズグズ泣く赤ちゃんもいれば、火がついたように大泣きする赤ちゃんもいます。また、一度泣き出すとなかなか寝付いてくれません。また、夜泣きが続く期間や時間帯もそれぞれです。
2007年3月にすくコムリサーチにて実施したアンケートでは、実に8割近くのママが、「夜泣きがある・あった」と回答しています(図1)。夜泣きを体験していないママは、2割程度。やはり、育児をしていく中で「夜泣き」は避けて通れない問題のようです。
また、夜泣きが始まる時間帯については、0時過ぎ~2時という深夜の割合が高く(図2)、ママやパパも静かに眠りたい夜中に赤ちゃんが泣き出してしまうという、苦しい子育て事情が浮き彫りになりました。
夜泣きの本当の原因は・・・
赤ちゃんはなぜ、夜中に急に泣き出すのか?赤ちゃんに何が起きているのか?言葉が話せない赤ちゃんから理由を聞くわけにもいきませんね。夜泣きの原因として考えられているものをまとめると、
・夢を見て、ビックリして泣くのではないか
・肩が凝って痛くて泣くのではないか
・目が覚めて、寂しくて泣くのではないか
・眠りのリズムが未熟で、眠りが浅い時に泣くのではないか
などが挙げられます。ただし、残念ながらどれも科学的な根拠はありません。パパ・ママを苦しめる「夜泣き」、この時赤ちゃんが泣く本当の理由は、誰にも分からないのです。
夜泣きは日本だけ?
子育てをする上で普遍的に思われる「夜泣き」ですが、実は欧米などでは夜泣きはあまり問題視されていないというのが現状のようです。これは、日本が添い寝文化であることと密接に関係しています。欧米圏は赤ちゃんと両親は小さいうちから別室で寝ているために、たとえ夜泣きしていても気づきにくいのです。日本は居住空間も狭く、赤ちゃんもすぐ隣に寝ているので、夜泣かれると親もすぐに起きてしまい、子育ての課題になってくるというわけです。 遺伝子的に、アジア圏の赤ちゃんは夜泣きをしやすい、欧米圏の赤ちゃんは夜泣きをしにくいのでは?などの説もあるようですが、統計的なデータはなく、この説自体、まったく根拠がないとか。
どうやら日本のお家事情や子育てスタイルが夜泣きを「発見」してきたといえるのかもしれませんね。
PR