友だちと一緒のときの「子育てコトバ」
ポイントは、「親が子どもの気持ちを代弁すること」です。
講師:井桁 容子(東京家政大学ナースリールーム 主任保育士) 「早くしなさい」「ちゃんと食べないと大きくなれないわよ」といった、普段子どもに対して何気なく使ってしまう言葉。 しっかりと子どもに伝わっているのでしょうか。 今回は、言葉を理解できるようになった3歳前後の子どもによく伝わる「子育てコトバ」を考えます。
友だちと一緒のときによく言ってしまう言葉(1)
「“ごめんなさい”は?」
子どもが友だちとおもちゃの取り合いになって、友だちに手をあげてしまうことってありますよね。
そんなときによく使ってしまう言葉です。
<言い換え術>
相手の子に対して、
「ごめんね、びっくりしたね、でも素敵なものに見えたみたい」
とママが声をかけ、友だちの気持ちも、自分の子の気持ちも代弁してあげましょう。
子どもたちは、気持ちを言語化できなくても、言葉を聞いて理解することはできます。
ママが子どもの気持ちを代弁することで、子どもは次に似たような状況におちいったときに、自分の気持ちを言葉で表現できるようになります。
ママはわが子を早くいい子にしたいという思いから、子どもが何もトラブルを起こさないほうがいいと思いがちです。
しかし、子どもはさまざまな経験やドキドキするような思いをするほうが、やがて人の気持ちが分かるようになります。
思ってもいないのに「ごめんなさい」を言わされてしまうと、子どもにとって自分の思いを押し込める存在が「友だち」ということになり、友だちなんかいないほうがいいということになりますよ。
友だちと一緒のときによく言ってしまう言葉(2)
「“ありがとう”でしょ?」
友だちが子どもにおもちゃを貸してくれたときに、言ってしまう言葉ですよね。
<言い換え術>
「○○でしょ?」と強制するような口調ではなく、
「貸してもらえてうれしかったね、ありがとう」
とママが子どもの気持ちを代弁する形で伝えましょう。
また、子どもには、「ニコッと笑う」「友だちの頭をなでる」といった、言葉ではない「ありがとう」の表現もあります。
そのため、お礼を急がせるのではなく、少しの間、子どもの様子を見てみることも大切です。
お礼を伝えなきゃと、ママが急がなくても大丈夫ですよ。
ママは、友だちへの配慮を気にするあまり、わが子の気持ちへの配慮を忘れてしまうことがあります。
子どもにとってうれしいママとは、自分の気持ちを誰よりもわかってくれるママです。
子どもがよく育つためには、親子の信頼関係が必要です。
その信頼関係は、ママが子どもにかける言葉でも築いていけます。
子どもはママにかけられた言葉を聞いて、ママが自分の気持ちをわかってくれているかどうかを感じています。
つまり、言葉は最大の信頼につながるのです。
叱るような口調になりすぎず、子どもの気持ちを代弁してあげるようにしてください。
「ありがとう」や「ごめんね」は、焦らなくても大丈夫です。
幼児期は、子どもが自分の気持ちを素直に表現できるように応援してあげましょう。
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