急な発熱
熱があるからといって、重い病気であるというわけではありません。
熱は、体が病気を治すための正常な反応です。まずは、熱以外の症状をよく観察してみましょう。
講師: 林 幸子(国立成育医療研究センター 救急センター副看護師長) 子どもの突然の発熱、セキ、おう吐、ケガなど、子育てにはハプニングがつきものです。 そのようなときにあわてないため、まずは普段から子どもの様子を観察しておくことが大切です。 病気やケガのときでも、子どもが安心して過ごせるよう、ホームケアを知っておきましょう。
発熱したときの基本的な対応
熱があっても、元気で食欲がある場合は、心配ありません。
しかし、以下のような場合は病院を受診してください。
・3か月未満の乳幼児の発熱
・子どもがぐったりしていて機嫌が悪い場合
解熱剤使用のポイント
発熱で病院に行くと、多くの場合解熱剤を処方されます。
解熱剤を使うタイミングが、ポイントです。
<解熱剤使用の目安>
・体温が38.5度以上の発熱の場合
(ただし、子どもが元気で食欲がある場合は必ずしも解熱剤は必要ありません。)
・熱がつらくて眠れない場合
・水分や食事がとれない場合
<解熱剤の効果>
解熱剤は、熱を下げて体を楽にするためのものであり、病気を治す薬ではありません。
一時的に体温を下げることで体を楽にし、その間に寝たり、食べたりといったようなことを出来るようにするためのものです。
体温調節のポイント
服の着せ過ぎや布団のかけ過ぎは、熱がこもり、かえって体温が上がってしまいます。
子どもの様子をよく観察し、子どもの状態に応じた対応をとりましょう。
<寒がっているとき・手足が冷たくなっているとき>
このようなときは、これから熱が上がる場合が多いです。
手足を温めてあげたり、かけものを1枚多くしたりして、少し温かくしてあげましょう。
<手足の先まで温かくなっているとき>
布団をとり、すぐに薄着にしてあげましょう。
また、子どもが嫌がらなければ、保冷剤を使って体を冷やしてあげましょう。
冷やし方は、まず保冷剤をガーゼにくるみ、「首筋」や「脇の下」、「足のつけ根」に当ててください。このようにすると、効率よく体を冷やすことができます。
子どもが保冷剤を嫌がる場合は、無理をせず、薄着で様子をみましょう。
<汗をかいているとき>
子どもの体を拭いて、着替えさせてあげましょう。
水分補給や食事のポイント
<水分補給>
熱が続くと体の水分が失われてしまいます。また、汗と一緒にナトリウムなど体に必要なものが失われていきます。子どもが脱水状態にならないよう、こまめに水分をあたえることが大切です。
子どもにあたえる水分は、湯ざましやお茶よりも、失われた体に必要なものが補充できる、「経口補水液」や「子ども用のイオン飲料」がおすすめです。
<食事>
熱があるときは、食事をとりたがらない子どもも多いです。そのような場合は、子どもの好きな口当たりのよいものをあたえてください。
それでも子どもが嫌がる場合は、無理に食事を食べさせようとせず、水分を中心にあたえましょう。
水分をとるのも嫌がり、以下のような症状が見られる場合は、病院を受診しましょう。
・おしっこの回数や量が少ない
・汗をかかない
・唇が乾燥している
・うとうとばかりしている
緊急を要する場合
熱性けいれんを起こし、2~3分たってもとまらない場合や、意識状態や呼吸に異常を感じたときは、119番通報し、救急車を呼びましょう。
<もしものときの電話番号>
以下のような場所の電話番号を、家の目のつくところに貼っておきましょう。
イザというときにあわてずに済みます。
・小児救急電話相談 ♯8000(全国共通)
・かかりつけの小児科
・夜間や休日診療が可能な近くの総合病院
子どものケガや病気に備えて、ちょっと覚えておくと安心です。
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