丸山桂里奈の1日保育士体験 前編

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2025/03/01

出典:すくすく子育て[放送日]2025/03/01[再放送]2025/03/06

丸山桂里奈さんが、保育士見習いとして保育園の1日を徹底取材! 初めての保育士体験に、カリナ先生もタジタジ。2回にわたるスペシャル企画の前編です。

専門家:
大豆生田啓友(玉川大学 教授/乳幼児教育学)

朝9時 体験を前に

「保育士さんが何をしているか細かくはわからないので、とても緊張します」という丸山桂里奈さん。今日は初めての保育士体験です。わが子の保育園に向けての下見をかねて、先生の行動や園の工夫などを見ていきたいそうです。

今回、ご協力いただいたのは世田谷区にある認可保育園。保育園主任の堀川さんが出迎えてくれました。今日1日、桂里奈さんを見守ってくれます。

さっそく中に入ると、玄関には、暖炉やシーサー像があります。床には段差もありません。

コメント:大豆生田啓友さん

多くの園が、大人が来てもリラックスできることを大事にしているんですよ。

保育士の心得

最初に、保育士の大切な心得を教えてもらいました。

堀川さん(保育園主任)

保育園には「保育所保育指針」があります。厚生労働省(現在は、こども家庭庁)が定めている保育内容や保育に関する考え方をまとめたもので、保育園の運営の基本となるものです。
保育所保育指針に書かれている「生きる力」を育てるために、この園では「①思いっきり遊ぶ」「②思いっきり笑う」「③思いっきり食べる」ことを大切にしています。
丸山桂里奈さん

シンプルに子どもを預かってもらってお迎えに来るだけを想像してましたが、まず「生きる力」なんですね。生きること、成長することは、大人につながると思うから、大きな考え方の柱があるのはいいですね。
コメント:大豆生田啓友さん

「保育所保育指針」は、国が園に対して大事にしてほしいことをまとめたガイドラインです。幼稚園の場合は文部科学省が定めている「幼稚園教育要領」です。ほかにも認定こども園に関してのものもあります。
そこでは幼児期に経験させたい内容が書かれています。特に保育の5領域「健康・人間関係・環境・言葉・表現」があり、遊びや生活の中で豊かな経験をさせて、生きる力を大事にしています。

9時30分 朝の会

まずは全児童が集まって行う朝の会からスタートです。

先生に紹介されて、あいさつします。

すぐに反応はなかったけど、先生の「みんなでカリナ先生って呼んでみようか」という声かけに、子どもたちが元気よく「カリナ先生」と呼んでくれました。

そのあと、子どもたちは各クラスの先生の話を聞きます。

保育士体験 1日のスケジュール

今回、カリナ先生が担当するのは、3~4歳児の年少クラス「かえで組」。三枝先生、片井先生、子どもたち6人です。

この日のかえで組のスケジュールは、午前は朝の会、自由あそびと体操ダンス。昼食の後は休憩、自由あそび、おやつ、工作活動、お帰りの会と続きます。

10時 自由あそび

子どもたちに「今からどうしようかな?」と問いかけると、「お外出る!」「外出て遊ぶ」とこたえます。今日の「自由あそび」は、園庭で遊ぶことになりました。保育内容は、子どもの意思を尊重しているのです。

コメント:大豆生田啓友さん

子ども優先だと予定を組めないように思えますが、大まかな予定は組んで、細かい部分は子どもの声を聞いて、尊重していますね。

外に出る前に、「園庭で遊ぶときのお約束を覚えているお友だちはいますか?」と聞くと、「土をお友達にかけない」と返ってきました。「そうだね、土をかけちゃったらどうなっちゃう?」と話を続けます。ほかにも「オモチャは全員の分ありますか?」と聞いていました。

年少の子どもたちは、ある程度は覚えるので、いつもこちらから言うだけではなく、問いかけで子どもたちから注意事項を言ってもらうそうです。自分で言うことで、責任にもつながるんですね。

砂遊びが始まりました。「一緒に遊ぼ」と言う子がいたらい「いいよ~」とこたえます。工事現場ごっこしたり、まつぼっくりを転がしたり、砂をつぶしていたり。

いろんな遊びをすることで、発展にもなり、自由に遊ばせることで、子どもたちの成長がわかるそうです。

コメント:大豆生田啓友さん

大人からするとよくわからない遊びも、子どもはこだわって遊んでいます。カリナ先生はちゃんと声かけをしているのですごいですね。自分で遊びを選べることが大事なんです。

今度は、カリナ先生が「サッカーで遊ぼうよ」と提案します。カリナ先生は元なでしこ日本代表なんです。

サッカーのあと、「リレーしてくる」と駆け出した子どもたちがいました。先生は「ボール、このままで大丈夫?」と問いかけます。

すると、子どもたちは戻ってきてボールを片づけます。さらに先生が「オモチャはどうする?」と聞くと、みんなでオモチャの片づけが始まりました。

子どもたちが「リレーをするなら、どうしたらいいかな」と自分たちで考えることが大事で、自主的に考えて片づけられるようにしているそうです。

コメント:りんたろー。さん(MC)

「ボール片づけてからだよ」と言っちゃいそうです。勉強になりますね。

今度は「鬼ごっこしよ」の声で、「バナナおに」が始まりました。「バナナおに」では、鬼にタッチされるとその場で「バナナ」に。仲間にタッチされると再び逃げられます。

そこでハプニングが起こりました。走っているときに転んでしまったんです。カリナ先生が「大丈夫? 痛かった?」と尋ねると、裾をめくってどこが痛いかを見せてくれました。
子どもたちは、転んだら自分で血が出てないかを確認できるようになっています。生活の中で覚えてきているそうです。

子どもたちは「大丈夫?」と、転んだ子のことを心配していました。

コメント:大豆生田啓友さん

自分が大人から大事にされたように、他の子も大事にするようになります。みんなで過ごすと、自分だけではなく他の子への思いやりも育ちます。

遊びを通して生活に必要な「生きる力」を学んでもらう。保育園の重要な役割です。

丸山桂里奈さん

まだ最初なのに、すごく疲れています。私は子どもたちを1対1で見ていましたが、保育士さんはいろんな角度から子どもたちを見ていました。すごいです。こんな細かい対応をしているんだと知れば、親も安心だと思います。

11時、園庭遊びが終わりました。クラスルームへ入る前に、人数とケガのチェックを必ず行います。

ケガのチェックは、一人ひとりと目を合わせて会話を引き出すことがポイントです。大人数だとしゃべれない子もいるので、嫌な気持ちなどがないかも確認するようにしているといいます。

コメント:大豆生田啓友さん

保育士が子どもたちの様子を観察して、健康状態を確認することを「視診」といいます。心と体が健康かを、先生たち一人ひとりがきちんと見るのです。

11時10分 体操ダンス

先生の「ダンスをみんなでやりたいと思います!」という声に、喜ぶ子どもたち。

ここで、「カリナ先生の見本になるように、みんながダンスの先生になろう」という子に、「先生役はひとりでいいよ」「なんで勝手に決めるの?」と、言い争いになってきました。先生は、言い争いを見守りますが、一方の子が泣いてしまいます。

先生は、「なんかお話してた?」「嫌な気持ちだったら教えてもらっていい?」と2人から話を聞きます。

争いごとが起きたら、先生は子どもたちがお互いに自分の気持ちを言い合えるように促し、お互いが納得できるようにして、気持ちを落ち着かせるようにしているそうです。トラブルになったときも、どうしたらいいかは子どもたちに委ねます。

コメント:大豆生田啓友さん

大人が裁判官にならないことが大事です。大人は、子どもたちが自分たちで解決していくお手伝いをするのです。

泣いてしまった子に「先に始めておく?」と聞いていると、ほかの子から「待っとくね」という声がありました。しばらくすると、落ち着きを取り戻して合流することができました。

コメント:大豆生田啓友さん

子どもの気持ちをきちんと受け止めれば、少し時間がかかっても自分で切り替えられるようになります。

ダンスの時間でも、成長を促す試みがあります。

先生は「どちらがかっこいいかを見ていてくれる?」と言って、2人のダンスを見てもらいました。そのあと、「どっちのほうがいいですか?」と尋ねてみるんです。
あえて違いを見せて、どう思うかなどを自分で気づかせる、好みを見つけさせるようにしているといいます。

ダンスを見せあってほめあうことで、自己肯定感につながるようにもしています。

園庭遊び、ダンスで体を動かしたあとは、「ちょっと疲れたので絵本はどうかな?」と声をかけます。絵本は、大人が選ばずに子どもたちで選択する機会をつくっていました。

絵本の読み聞かせにも工夫があります。

先生が「ピヨピヨさん」というと、子どもたちが「なんですか」とこたえます。「こんなことこんなことできますか?」と言いながら両手で頭をポンポンとすると、子どもたちも「こんなことこんなことできますよ!」と同じ動きをします。

そのあと、先生は絵本を読み始めました。実は、読む前に手遊びなどをして、絵本に集中できる環境を整えることを心がけていたんです。

そうしているうちに、給食の時間になりました。

丸山桂里奈さん

細かい気遣いなど大変ですね。読み聞かせに集中させるために、絵本の前に遊びを入れていました。子どもの気持ちをいちばんに考えることがみえて、ふだん気づかないところを気づかせてもらっています。

絵本の読み聞かせ

園庭遊び、ダンスで体を動かしたあとは、「ちょっと疲れたので絵本はどうかな?」と声をかけます。絵本は、大人が選ばずに子どもたちで選択する機会をつくっていました。

絵本の読み聞かせにも工夫があります。

先生が「ピヨピヨさん」というと、子どもたちが「なんですか」とこたえます。「こんなことこんなことできますか?」と言いながら両手で頭をポンポンとすると、子どもたちも「こんなことこんなことできますよ!」と同じ動きをします。

そのあと、先生は絵本を読み始めました。実は、読む前に手遊びなどをして、絵本に集中できる環境を整えることを心がけていたんです。

そうしているうちに、給食の時間になりました。

丸山桂里奈さん

細かい気遣いなど大変ですね。読み聞かせに集中させるために、絵本の前に遊びを入れていました。子どもの気持ちをいちばんに考えることがみえて、ふだん気づかないところを気づかせてもらっています。

0時 昼食

昼食の時間になりました。

子どもたちは、自分でごはんをよそいます。自分で考えて食べられる量をとり、回を重ねると、みんな盛る量が一定になってくるそうです。おかずの配膳もそれぞれ行うことで、食器の正しい位置なども自然に身につきます。

みんなで手をあわせて、いただきます。

すると、すぐに先生が今日の献立の説明を始めました。

おみそ汁には、園で育てた「しいたけ」が入っているそうです。食材を知ることも食べ物への興味につながります。

コメント:大豆生田啓友さん

多くの園は野菜などを育てています。自分たちで育てることで、好き嫌いがなくなるのです。
コメント:りんたろー。さん(MC)

子どもたちが食べるまでの工程に関わっているんですね。

先生も子どもと一緒に食べます。大人がおいしく食べている姿を見ることで「自分も食べてみよう」という気持ちが育つのです。子どもと「共食」することで味も共有できます。お友だちと話すなど、コミュニケーションがとれる大切な時間になっています。

コメント:大豆生田啓友さん

みんなで共に食べる「共食」は、とても大事な経験になります。

ここで、先生に「なぜ保育士になろうと思ったか」を尋ねてみました。

三枝さん(保育士)

小さい子がかわいいと思うことがきっかけですね。実際は遊ぶ以外にもやることがいっぱいです。大変なこともありますが、それ以上にかわいいという気持ちが勝ちます。やりがいがとても高い職業だと感じます。
丸山桂里奈さん

今まで、保育園に通わずに家にいればいいのに、預けて心配な思いをすると思っていましたが、こんなに安心な場所なんですね。
保育士さんは「あこがれる職業」というイメージがありましたが、すごく大変だと思いました。それなのに、先生たちは余裕があるように見えて、自然体で子どもに接してくれていました。自分の子どもも、こう接してほしいなと思いました。

カリナ先生、あっという間に完食です。みんなもおいしくいただきました。
昼食を終えて、やっと保育士体験の折り返し地点です。


保育士体験 前編のあとで

りんたろー。さん(MC)

すごかったですね。
丸山桂里奈さん(MC)

私が全く気づかないことに先生たちは気づくんですよ。「これをしなさい」と言わずに、子どもに考えさせて、子どもがそれに応える環境でした。とてもいい体験になりました。
りんたろー。さん(MC)

本も遊びも、子どもたちに疑問形で聞いていましたね。選択を与えているから、選んだことに責任感も持てるんですよね。
大豆生田啓友さん

子どもたち一人ひとりの思いや、どうしたいかを尊重しながら、毎日保育しているのです。保育士の仕事は、一人ひとりの思いに応じて丁寧に関わっていく「オーダーメイド」といえるでしょう。
りんたろー。さん(MC)

保育士さんは、預かりのプロフェッショナルですよね。
丸山桂里奈さん(MC)

本当にそう思います。まだ子どもを保育園に預けていませんが、もっと小さいときからでも預けたいと思えました。親にとっても保育園がいいサイクルにつながるように思いましたね。

次回は、カリナ先生の1日保育士体験完結編です。

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