赤ちゃんは、まだ何もわからなくて何もできないと思っていませんか? 実は、研究が進み、生まれたときからさまざまな力を持っていることがわかってきました。赤ちゃんの行動を観察して、子育てを楽しむヒントを伝えます。
専門家:
開一夫(東京大学大学院 教授/赤ちゃん学)
井桁容子(元保育士)
はじめに
―― 「赤ちゃん学」とは、どんな学問なのですか?
科学的な方法で赤ちゃんを研究する
開一夫さん
赤ちゃんを対象に、さまざまなジャンルの学問を通して研究するのが赤ちゃん学です。医学や発達心理学や言語学など多くの観点があります。その中でも私は、大人も含めた心の科学である「認知科学」を用いて、赤ちゃんの脳の発達などを科学的な方法で研究しています。
赤ちゃんの笑いに違いはあるの?
赤ちゃんはわかっているの?
赤ちゃんは「鏡に映っているのは自分」とわかっている?
赤ちゃんは親の気持ちがわかる? 空気を読むことができる?
赤ちゃんはいけないことをしたとわかっている?
親が鋭く観察すると楽しいことがたくさん発見できる
開一夫さん
今回たくさんの映像を見て、観察は重要だと思いました。観察は、どれだけ気にかけているかなのです。私は研究者として赤ちゃんに接することが多いですが、赤ちゃんにいちばん近い親の目線で鋭く観察することで、楽しいことをたくさん発見できるのではないかと思います。
赤ちゃんは大人がなくしてしまった能力を持っている
井桁容子さん
私は子どもたちと何十年もつきあってきましたが、裏切られたことはありません。私たちは言葉を獲得すると、持っていた感覚を忘れてしまいますが、赤ちゃんはその感覚をたくさん持っています。だから、赤ちゃんをひとりの人間として尊ぶこと。うまくいかないときには、心の中で「わかってあげられなくて、ごめんね」と思うと、言葉で言わなくても伝わります。私も「わからない」「でも、困っているんだね」「一緒に困ろう」「一緒に泣こうか」と泣いたこともありました。最後には、「大丈夫だよ」と子どもに慰められました。子どもはすごいですね。
丸山桂里奈さん(MC)
私はもともと人間観察をよくしてきているので、赤ちゃんの観察をもっとしよう、丁寧にしようと思いました。
りんたろー。さん(MC)
私は子どもを「赤ちゃん」、自分を「その親」とどこかで思っていましたが、子どもをひとりの人間として尊重していこうと思いました。