アタッチメントという言葉を聞いたことはありますか? 日本語では「愛着」とも訳されますが、番組のアンケートでは「聞いたことはあるけれどよくわからない」という回答が多く寄せられました。アタッチメントについて、専門家と一緒に深堀りします。
専門家:
遠藤利彦(東京大学大学院 教授/発達心理学)
近江屋希(保育園 園長)
アタッチメントとは?
「ちょっと待ってね」が長くなる… アタッチメントできているか不安
愛着障害はアタッチメントと関係がある?
アタッチメントは家族だけでつくらないといけないの?
保育者は子どもの港でありたい
近江屋希さん
私が保育者になりたてのころ、ずっとだっこでしがみついて遊べない子がいて悩んでいました。そのとき、ベテランの先生が「保育者は港なのよ」「だっこのとき赤ちゃんはあなたの胸しか見えないから、赤ちゃんの顔が外側になるようにひざの上に座らせてみて」と言ってもらえたんです。その後、子どもたちが遊んでいるときにそうやって座っていました。そんなある日、すっと立って、とことこ歩いて、おもちゃを取って戻ってきたんですね。「はじめて自分から行った!」と思いました。
その様子を見ていたベテランの先生から「子どもは船だから、自分で出港しようと思ったら自分で出ていく。面白いものがあったらそこで出会って、燃料が足りなくなったら戻ってきて、あなたのところで充電してまた行くのよ。港ってそういうことよ」と聞いたんです。保育者は子どもの港でありたいと改めて思いました。
大人は子どもが確実に戻れる場所、子どもを応援してあげられる存在に
遠藤利彦さん
大人は、子どもにとって基地や港のように何かあったときに確実に戻れる場所であることが、いちばん大切だと思います。子どもが何かを思い立ったとき、きちんと応援してあげられるように少し意識してみてください。アタッチメントでいちばん大切なことのように思います。