子どもにかわいい・かっこいい服を着せたいけど、見た目だけで選んでいいのでしょうか? 快適で、元気でいられるのはどんな服? 衣服の専門家に教えてもらいました。
※子どもの体質に合わない場合があるので、様子をみて選びましょう
講師: 薩本弥生(横浜国立大学 教授/被服環境学)
子どもの体温調節
小さい子の服の調節は難しいですよね。子どもは基礎代謝が高く、体温調節能力が未発達です。気温・室温の影響を受けて体温が変わりやすいのです。
※体温調節:暑いときは汗をかいて体温を下げ、寒いときは血管を縮めて熱を逃がさないようにすること
また、汗をかきやすく、寒い時期でも服を着せ過ぎると「うつ熱」といって、体温が上がってしまうことがあります。暑い時期に熱がこもる服を着ていると、熱中症にかかりやすくなることもあるのです。
寒いときの服の着せ方
子どもの服の着せ方のポイントは、「空気を着る」です。寒いときは、体の近くに「静止空気」を着るようにします。重ね着で空気を閉じ込めるのです。
肌着を着て、その上にシャツを着て、さらにセーター・トレーナーを着て、風を通さない上着を着るなど、それぞれ適度なゆとりがある服を重ねて着ると、間に静止空気の層が増え、体の近くのあたたかい空気を閉じ込めることができます。
服の素材の断熱性能に加えて、服の間にある空気層があたたかさの重要なポイントになります。
基礎代謝が活発な子どもは体温が高めなこともあり、大人より1枚少なくするのが目安です。さらに、運動すると体が発熱しやすいので、脱ぎ着をして調節します。
子どもが夢中になって遊んでいると、暑くても上着を脱がずに汗をかいていることもあります。首筋や背中などに手を入れて、しっとり汗ばんでいるようなら着せ過ぎです。そんなときは、上着を1枚脱がせてあげるとよいでしょう。
重ね着の目安
秋から春にかけての、気温にあわせた重ね着の目安を紹介します。
※成人の重ね着の目安から5歳女児の平均的な体重や身長にあてはめた概算から作成したものです。子どもの様子を見て調節しましょう。
室内の場合
室内では、肌着、長袖シャツ、トレーナーなどが便利です。
室温が20~25度くらいの場合は、肌着・パンツ、ズボン、長袖シャツ。
室温が16~22度くらいの場合は、トレーナーを重ね着します。
屋外の場合
外では気温が高いうちは、中を薄着にし、寒くなったら上着や小物で調節します。
気温が14~20度くらいの場合は、肌着・パンツ、ズボン、長袖シャツ、薄手の防風性上着、靴下・靴。
気温が10~16度くらいの場合は、肌着・パンツ、ズボン、長袖シャツ、トレーナー、コート、靴下・靴。
気温が5~10度くらいの場合は、コートをダウンジャケットなどにします。首、手首、足首の3つの首をあたためると、体全体をあたたかくするのに効果的です。帽子やネックウォーマー、ベストなども便利です。
汗をかいたら拭き、汗で服がぬれたら着替えるのが理想ですが、難しい場合は速乾性の肌着にするなどの工夫もいいですね。
暑いときの服の着せ方のポイント
暑いときは、「服の中に風を作る」ことがポイントです。風が通る、すとんとした服がおすすめです。
寒いときとは逆に、空気の流れが放熱につながります。服の首筋、手首、裾などの開口部が開いてウエストをしめないようにすると、空気が流れて涼しくなります。
肌着について
体温調節機能の発達のために大切なことは、しっかり汗をかくことです。肌着は、汗や皮脂汚れを吸い、肌を刺激から守るので、ふだんから着せるようにしましょう。赤ちゃんのうちは、吸湿性がよく刺激が少ない綿がおすすめです。
暑い時期、1枚着ているだけでも暑いときには、肌着とシャツの2枚を着せると少し暑すぎるので、汗を吸い、よく乾く、肌着を兼ねる素材のシャツ1枚でもいいでしょう。
子どもが元気よく動いて、汗をかいて、気持ちよくいられるよう、季節によって使いわけるといいですね。
まいにちスクスク「子どもの服」の番組記事
- (1)服での体温調節のコツ
- (2)服の素材を知る
- (3)服と安全
Eテレの育児情報番組「まいにちスクスク」でこれまでに放送した内容はこちら
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