耳のケア
正しい耳掃除で、子どもの耳をケアしてあげましょう。
講師:守本 倫子(国立成育医療研究センター 耳鼻咽喉科医長) 子どもの小さな耳や鼻。お手入れしづらくて困ったり、病気の見分け方が分からなかったりして悩んだことはありませんか? デリケートな子どもの耳や鼻のケア方法をご紹介します。
耳掃除を行う最適な頻度
子どもの耳の中の皮膚は、薄く、とても傷つきやすいです。
そのため、耳掃除のしすぎは、かえってトラブルのもとになります。
また、耳あかには特徴があり、むやみやたらに取り除いた方がいいものではありません。
耳のお手入れは、月に1回から2回で十分です。優しく丁寧に行いましょう。
<耳あかの特徴>
(1)耳あかは耳を守るバリア役
耳あかは、耳の穴を守るバリアの役割があります。
したがって、耳掃除をしすぎると、かえって耳の穴を傷つけてしまいます。
(2)耳あかは自然に外に押し出される
耳あかは、皮膚の表面にある細かな毛の働きで、自然に耳の奥から外へと押し出されていきます。
そのため、耳掃除は、入り口付近に見える耳あかを取るだけでいいのです。
ベビー用綿棒を使った耳掃除の方法
こどもの耳掃除には、ベビー用綿棒を使用してください。
ベビー用綿棒は、子どもの小さな耳の穴にも入りやすく、皮膚を傷つけにくいため、子どもの耳掃除に最適です。
<耳掃除の方法>
(1)綿棒は鉛筆を持つようにして、下図のように軸の真ん中あたりを持つ。
このように持つと、指が邪魔にならず、耳の中がよく見えるようになります。
また、万が一、子どもが動いても、耳の奥まで綿棒が入り過ぎないため、安心です。
(2)子どもの頭をしっかり押さえ、耳たぶを少し引っ張る。
誰かに手伝ってもらうなどして、子どもの頭をしっかりと固定しましょう。
(3)耳の入り口をぬぐう
汚れが見える部分だけを1~2回、くるっと綿棒を回転させるようにして、優しくぬぐい取りましょう。
<ポイント>
カサカサした粉っぽい耳あかの場合には、綿棒にベビーオイルやワセリンなどを薄く塗ると、耳あかが取りやすくなります。
耳掃除の注意点
耳掃除によるケガで緊急搬送された人のうち、4割以上が4歳までの子どもです。
子どもの耳掃除をするときには、次の4つに注意しましょう。
(1)奥まで綿棒や耳かきを入れない
まずは、決して奥まで綿棒や耳かきを入れないようにしましょう。
(2)子どもに言い聞かせる
お話がわかる子どもには、「じっとしててね」などのように、頭を動かさないように言い聞かせましょう。また、ママやパパ、おばあちゃんなど誰かに子どもの体を押さえてもらい、一緒にお掃除してもいいですね。
(3)耳掃除中は周囲の状況を確認
耳掃除中に、きょうだいが遊んでいてぶつかったりする事故も起きています。周りの状況を確認して行いましょう。
(4)綿棒などは子どもの手の届かないところに保管
特に1歳代から2歳代では、自分で耳の穴に耳かきを入れてケガをしたという事故が、半数以上を占めています。
綿棒など耳掃除の道具は、必ず子どもの手の届かないところにしまっておきましょう。
ワンポイントアドバイス
<耳掃除でリラックス>
▼どうして耳掃除でリラックスできるの?
耳の中には、副交感神経が伸びてきています。
耳掃除などで副交感神経を刺激すると、血管が広がってリラックスでき、気持ちがよくなります。
耳掃除をすると気持ちがいいのはこのためです。
▼副交感神経とは?
自律神経のひとつ。睡眠などリラックスしているときに働きます。
<子どもが耳掃除を嫌がる>
▼どうして嫌がるの?
耳掃除を気持ちがいいと感じるのは、耳の手前部分だけです。
下図の赤丸部分のような、耳の奥の骨のある部分に綿棒が当たると、とても痛いです。
▼子どもが嫌がらない耳掃除の方法は?
(1)耳の入り口周りだけを掃除する。
(2)耳の周りをコチョコチョくすぐるようにする。
気持ちのいいスキンシップのつもりで耳を触られることに慣れさせましょう。
とりにくい耳あかは無理をせず、耳鼻科のお医者さんに取ってもらいましょう。
恥ずかしがらずに、耳の定期健診のつもりで、耳のお掃除もお医者さんを頼ってください。
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