手洗い、着替え、食事などの生活習慣。保育のプロは、0歳から2歳児の子どもたちにどう教えているのか、園での様子を見せてもらいました。
講師: 工藤佳代子(東京家政大学ナースリールーム 施設長)
コップの使い方
待ちに待ったおやつの時間。子どもたちは上手にコップを使っています。園では、どのように教えているのでしょうか。
使い始める目安
コップなどは、使い方を教えるというより、子どもの発達をみて使うタイミングを見計らっています。上唇に水分があたったとき、それを「スッ」と吸えるのは、コップやカップから汁物を飲むことができるようになる目安になります。
3種類のコップ
園では、3種類のコップ(磁気)を用意して、子どもの発達に合わせ使い分けています。
0歳児クラスは両手で持つタイプです。はじめは保育士が手を添えて手伝いますが、次第に自分で持って飲むようになります。
1歳児クラスでは片方に取っ手があるタイプです。手や指が発達してくると、片手で取っ手を持って飲める子もいます。
2歳児クラスは取っ手がないタイプです。手のひらの力を加減しながらコップを持っています。
生活の中でさまざまな形の食器を持つことで、練習しなくても自然と扱いに慣れていきます。
コップに入れる量は少なめに
コップを使い始めても、手の調節が上手にできずこぼしてしまうこともあります。そのとき、水やお茶がいっぱい入っていると、ビチャビチャになってしまうので、コップの底から1~1.5cm程度の少量ずつ入れてあげます。自分で上手に調節しながら飲む経験になっていきます。
スプーンの使い方
家庭だと、つい食べさせてあげることが多くなります。スプーンの使い方は、いつ、どうやって教えればいいのでしょうか。
食べようとする意欲を育てる
手づかみ食べを始めている女の子(0歳児クラス)が、最近スプーンにも興味を示したので、柄の短い子ども用のスプーンを用意しました。握っているだけで、まだ上手に使えませんが、それでいいのです。スプーンを食器にあててカンカンしたり、皿の中で回したりしているだけのように見えても、握りスプーンで食べる感覚を身につけていきます。
手づかみ食べも、握るだけのスプーンも、子どもが自分で食べようとするための第一歩です。自分で食べようとする意欲を育てましょう。この時期にいろいろ試すことで、3歳ぐらいになったときの食べ方が上手になります。
食器の選び方
スプーンを使うときの食器は、重さがあって安定する、深さのあるものがおすすめです。
子どもはまだ力を加減できないので、食器が安定しているとスプーンですくいやすいのです。
手や指の発達は食事以外でも
道具を使うには手や指の発達が必要です。これには個人差があります。スプーンの扱いも、手先が使えるようにならないと難しいものです。
手先は、食事の場面だけで上手になるわけではありません。遊びの中でも、おもちゃのブロックを持ったり、ひもをつまんだり、手先を使うことで道具の扱いが上手になります。それは、道具を使った食事にもつながります。
子どもにとって、生活と遊びの区別はありません。それだけを練習させるのではなく、日々の暮らしの中で少しずつ育てていきましょう。
まいにちスクスク「0・1・2歳 ひとりでできるようになるには」の番組記事
- (1)手洗い・うがい
- (2)着替え
- (3)コップとスプーンの使い方
Eテレの育児情報番組「まいにちスクスク」でこれまでに放送した内容はこちら
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