手洗い、着替え、食事などの生活習慣。保育のプロは、0歳から2歳児の子どもたちにどう教えているのか、園での様子を見せてもらいました。
講師: 工藤佳代子(東京家政大学ナースリールーム 施設長)
子どもの「自分でやってみよう」
園では、子どもが小さくても、「自分でやってみよう」という意思を示したら任せるようにしています。「自分が」「自分も」といった言葉が出始めたら「自分でやってみたい」の合図です。
でも、すべて任せるのは難しい場合もあります。例えば、「自分で着るのが難しくても、一緒に洋服を選ぶ」「上着は着せてあげるけど、ズボンは子どもに任せる」のように、少しずつ「子どもに任せる」を増やしていきましょう。
子どもが「自分でやってみよう」と言うとき、園では3つのことを心がけています。
その1 着替えの服を広げておく
あらかじめ、服の構造がわかるようにしておくと、子どもがイメージしやすくなります。
その2 洋服を選ばせる
次に、洋服を選ばせます。お気に入りのものは自分で着てみたくなるものです。
その3 うまく着替えられなければ声をかけて手伝う
自分でうまく着替えられないとき、声をかけて手伝います。子どもが「できないときは、いつでも助けてくれる人がいる」と安心できると、「やってみよう」という気持ちになります。
子どもを手伝うことは、過保護になる?
ここで、よくある家庭での悩みです。
子どもが意欲を失わないように
回答:工藤佳代子さん 大人が「できないから早く着替えさせたい」といった気持ちで手伝ってしまうと、子どもは着替えを自分のことと思えなくなる、「自分はできない」と思ってしまうなど、依存的になってしまいます。例えば、「忙しいから少し手伝うね。本当はひとりでできるんだけどね」と声をかけたり、余裕があるときは子どもがひとりでできるように時間を作ってください。子どもが意欲を失わないようにしましょう。
子どもへの働きかけ
園では、1歳児クラスから服を自分で選ぶように働きかけています。
でも、子どもに任せていると、大人から見て不思議な組み合わせになることもあります。例えば、好きな服をぜんぶ身につけたくて、色違いの靴下を履くこともあります。
中には、6~7足の靴下を重ねて履くこともあります。でも、大人が先回りして答えを示すことはありません。「部屋の中はいいけど歩きづらい、どれぐらい脱ぐと歩きやすいかな」「何枚だったら靴が履けるかな」という経験につながっていきます。
こちらの、ひとりで着替える女の子(2歳児クラス)は、上着が後ろ前になってしまいました。保育士は、そのことは伝えず、「できた?」と声をかけて、自分で気づくことを促します。自分で気がつくのも、ひとつの経験なのです。
こうやって、だんだんひとりでできるようになっていくんですね。
まいにちスクスク「0・1・2歳 ひとりでできるようになるには」の番組記事
- (1)手洗い・うがい
- (2)着替え
- (3)コップとスプーンの使い方
Eテレの育児情報番組「まいにちスクスク」でこれまでに放送した内容はこちら
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