赤ちゃんからの防犯教室(3)いざというときの対処
子どもを狙った犯罪などの危険から自分を守る力は、小さいうちから育てられるのでしょうか。安全教育の専門家、清永奈穂さんに防犯の基本を教わります。
講師: 清永奈穂(NPO法人 体験型安全教育支援機構 代表理事)
危ないめにあったとき
もしも危ないめにあいそうになったとき、思い出してほしいのが「ハ・サ・ミ・と・カミ・は・お友だち」です。
はっきり・きっぱり断る
「は」は、話かけられたとき、はっきり・きっぱり断ること。
叫ぶ
「さ」は叫ぶ。いざというとき叫べるように、広い場所で大きな声を出す経験をしておきましょう。大きな声を出すコツは、体を「く」の字のようにして、声を投げるように出すことです。
※練習するときは、ほかの人に大ごとだと思われないように、「おーい!」「ママ!」といった声にしましょう
実際に危ないときは、ふざけて大声を出していると思われないように、手を振るなどして緊急性を伝えてください。
しっかり見る
「み」は しっかり見る・見分けること。まわりにどんな人がいるのか、どんな車が来ているのかなど、しっかり見ます。
飛び込む
「と」は、飛び込むこと。目についた店や、子ども110番の家などに、ためらわず助けを求めましょう。地域の頼りになる場所をあらかじめ知っておくといいですね。
かみつく
「かみ」は、かみつくこと。緊急事態のとき、力の強い大人に抵抗する手段になります。かみついた相手の手がゆるんだら、すぐ逃げます。
練習するときは、大人がケガをしないよう、腕にタオルを巻きます。本当に危険なとき以外は絶対にかみついてはいけないことも教えましょう。
腕を振りほどくには、こんな方法もあります。腕をつかまれてしまったら、慌てずに、相手の指と指のすき間を切るように腕を横に振って、走って逃げます。
腕を振りほどけないときは、思い切って腰を落として足をジタバタさせて相手のすねを蹴ります。腕がゆるんだらすかさず逃げます。
走る
「は」は、走ること。20m走って逃げると、犯人はあきらめることが多いという調査結果があります。重たい荷物を持っていても、頑張って走りましょう。
20m走って逃げ切るには、不審者から4m以上離れたところから逃げ始めることが必要です。荷物がある場合は6m以上です。(※小学生の場合)
ランドセルなどを背負って全力で走り切る練習をしておきましょう。もし荷物で走りにくいときは、荷物を落としてでも走って逃げることを優先してください。
お友だち
最後は、お友だちです。お友だちが困っていたら助けてあげましょう。おかしいな?と感じたら助け合うことは、小学校中学年くらいからできるようになります。まず、自分の命を守ることも忘れてはいけません。
危ない人にあった場合の体験を
実際に怖いめにあうと動けなくなってしまうものです。あらかじめ、危ない人に出くわした場合の体験をしておきましょう。体験することで、とっさに自分で考え、力を発揮することにつながります。家でも練習してみましょう。
怖いことがあったら
怖いことがあったら、早く大人に伝えることも大事です。子どもはなかなか話したがらないことが多いものです。異変を感じたら話しやすい関係でいたいですね。大人は叱らずに話を聞き、「警察」や「園・学校」などに知らせて、「地域で共有」しましょう。
どんな人かたずねるときは「性別」「何歳くらい(お父さん、おじいちゃんなど)」「服の色」「靴の色」など具体的に聞きます。
ふだんの遊びも大事
ふだんの遊びも役に立ちます。「鬼ごっこ」や「だるまさんがころんだ」などは、気配を察したり、すばやく逃げたりする力が身につきます。
こういった練習のできない小さいうちでも、親子で体を使う遊びやふれあい遊びをすることで、自分を守る力が育っていきます。
清永奈穂さん 危ないめにあったとき、子どもが絶対に家に帰る・逃げて帰るという気持ちを育てることがとても大切です。ふだんから「あなたは大切」と伝えて、親子の信頼関係を育てていってください。
まいにちスクスク「赤ちゃんからの防犯教室」の番組記事
- (1)あぶない場所と人
- (2)歩くときに気をつけること
- (3)いざというときの対処
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