心に響いた あのメッセージ(2)

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2023/05/04

出典:すくすく子育て[放送日]2023/05/04

これまでに反響が大きかった、心に響いた専門家のメッセージ。保育の現場で40年以上親子に寄り添ってきた井桁容子さんと一緒に振り返りながら、子どもとの関わり方について考えます。悩みを寄せてくれたご家族の今も伺いました。

専門家:
井桁容子(元保育士)

赤ちゃんの寝かしつけと夜泣き

2022年4月9日放送の「赤ちゃんの寝かしつけと夜泣き」。「多いときは1時間おきに夜泣きで、いろいろ調べて試してもだめだった」と悩んでいたママがいました。

脳科学を通して親子関係を研究している、黒田公美さんからのアドバイスです。

赤ちゃんは睡眠と覚醒のリズムを学んでいる途中

黒田公美さん

夜泣きの悩みは、9か月~1歳半ぐらいのお子さんでとても多くなっています。この時期の睡眠の脳波を調べた実験では、非常に早いサイクルで夜中に何回も起きかけていることがわかっています。
赤ちゃんは、睡眠と覚醒のリズムを学んでいる、練習している途中なので、少し長い目でみましょう。

アドバイスを受けたママに、その後の話を伺いました。

夜泣きしているときは、うまく寝れなくて自分も苦しいんだとわかって、一緒に頑張ろうという気持ちになりました。調べに調べ尽くして、先生たちの意見も聞いて、とにかく夜泣きは今だけだと考えて、とことんつきあうように腹を決めたんです。その後、10か月で卒乳して、ごはんを食べるようになって、夜泣きはなくなりました。1歳半になった今は、寝ぐずりに悩んでいます。
(悩みを寄せてくれたママ)

うまくいかなくてもダメではない

コメント:井桁容子さん

私も睡眠についてたくさんの相談を受けてきましたが、子どもそれぞれに個性があって、ひと筋縄ではいきません。その子に合ったやり方は、その子とつきあいながらわかっていくので、親子で折り合いのつけ方を見つけていくことが大事です。いちばん怖いのは、「誰かのアドバイスを試してもうまくいかない、ほかの子はできている、うちの子が悪いのではないか」と考えてしまうこと。そうではなく、その子の個性なんです。
うまくいかなかったとしても、親が子どもの様子をよくみて試行錯誤したことは、子どもには「自分のことをわかろうとしてくれている」と伝わっています。
親子にはいろいろな状況があって、最後は「わからないけど、つきあうよ!」と腹をくくるわけです。焦らないことで、うまくいくこともあります。

ひとりで抱え込まない。家族の助けも必要

コメント:井桁容子さん

「腹をくくる」といって夜泣きを受け入れたとしても、ひとりで抱え込まないことも大事です。パートナーや家族の助けが必要です。人は、まわりの人に助けてもらいながら子どもを育ててきた歴史のほうが長いのです。

どう向き合う? 子どものイヤイヤ

2022年4月23日放送の「どう向き合う? 子どものイヤイヤ」。「気に入らないことがあると、モノを投げたり、泣いたり。ダメって言っても何回も繰り返す」と悩んでいたママ・パパがいました。

発達心理が専門の坂上裕子さんは、イヤイヤ期の子どもの気持ちについて話してくれました。

自分の気持ちを言葉で伝えることが上手にできない

坂上裕子さん

この時期は、自分の気持ちを言葉で伝えることが、まだうまくできません。自分のどうしようもない状態を、どうしたらいいのかわからないのです。そのため、おそらくモノを投げずにはいられないような状況ではないかと思います。

髙祖常子さんには、具体的な対処法を伺いました。

気持ちを言葉にする、選ばせる、気持ちの切り替えを手伝う

髙祖常子さん

まずは、「何でイヤだったの?」と聞いてみましょう。まだ自分で説明することが難しいときは、「〇〇でイヤだったのかな」のように、子どもの気持ちを言葉にしてあげます。2つ目は、子どもに選ばせてあげる。そして、気持ちの切り替えを手伝ってあげることです。気持ちが爆発しているときは、「自分の気持ちと戦っているんだ」と見守って、「落ち着いたら教えてね」と伝えてみたり。気分転換を手伝ってあげるのも、1つの方法です。

アドバイスを受けて、パパ・ママに変化はあったのでしょうか。話を伺いました。

ママ/今、当時の映像を見直すと「すごかったな」と思うし、イヤイヤ期のころは壮絶すぎて、記憶がないんです。「落ち着くまで見守る」という話を聞いて、少し力を抜いて、ふかんして見てみようと思いました。今は3歳になって、お兄ちゃんにもなって、だいぶ落ち着いてくれたと思います。まだかんしゃくを起こすこともありますが、コミュニケーションが増えて、本人がどうしたいのか表現するようになりました。当時は「いつ終わるのか」と感じていましたが、少し終わりが見えてきました。冷静に見られるようになったと思います。「イヤイヤはもうすぐ終わるよ」と当時の自分に言ってあげたいです。
パパ/子どもを監視するというより、観察するような気持ちになれました。わたしたち親としての、ターニングポイントの1つだったと感じます。当時は、イヤイヤ期の絶頂期で、親もイライラ期で、どうしていいのかわかりませんでした。かっとなったときのクールダウンの方法などのアドバイスを聞いて、大人の物差しで子どもに完璧を求め過ぎていたことに気づけたんです。それから、親自身も変われたと思います。
(悩みを寄せてくれたママ・パパ)

困っているのに「イヤ」と言えないほうが問題

コメント:井桁容子さん

困っていることがあるのに「イヤ」と言えないほうが心配ですよね。だんだん言い方・伝え方を学んでいくところだと思います。

大人がどう見ているかは子どもに伝わる

コメント:井桁容子さん

「監視から観察に」という話がありましたね。「監視」は、「困ったことをやるんじゃないか?」のように、悪いところを見ようとしてしまいます。「観察」は、そういった偏見を持たずに、「どういう気持ちでいるのかな」という目で見ます。それの変化が、お子さんにも伝わったのでしょう。

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