子どもの予防接種(2)予防接種を受けるタイミング
パパ・ママの「子どもの予防接種」の疑問に、小児科医の松永展明さんが答えます。
講師: 松永展明(国立国際医療研究センター病院/小児科専門医)
予防接種の日なのにカゼ気味… どうしたらいいの?
回答:松永展明さん 発熱している場合は接種ができません。体調が明らかに悪いときは、予防接種の副反応か他の病気かの判別ができなくなるので、接種はおすすめしません。 ただ、保育園・幼稚園に通っていると、少し鼻水が出たり、せきが続いたりすることはあると思います。症状がひどくないときは、怖い病気に対して早く免疫をつけるという観点から、医師と相談のうえ接種可能な場合もあります。
子どもがいつも通り、食べる、寝る、遊ぶ、排せつができているかどうかも接種の目安になります。
カゼをひいて予防接種を受けそびれた。あとからでも大丈夫?
回答:松永展明さん 少しスケジュールが遅れても、免疫のつきが悪くなることはありませんので、安心してください。ほとんどの病気は急性期(症状が強く出ている時期)を過ぎれば接種は可能です。治ったら、早めに再スケジュールを組みましょう。 ※ロタウイルスワクチンなど接種期間が決められているものもあります。
病気によっては治ってから予防接種までに期間をあけたほうがよい場合もあるので、医師に相談してください。例えば、麻疹(はしか)・風疹・水ぼうそう・おたふくかぜは回復後2~4週間あけます。
「同時接種」を勧められたけれど、何本も打って大丈夫なの?
回答:松永展明さん 一度に複数のワクチンを接種する「同時接種」で、効果が薄くなることはありません。また、同時に接種することで、副反応の頻度や症状が強くなることもありません。例えば、接種箇所のはれが出やすいワクチンもありますが、ほかのワクチンと一緒に接種しても単独で接種しても、副反応の確率や症状も変わらないのです。
同時接種には、スケジュールを立てやすくなる、病気から早い時期に守られる、といったメリットがあります。
「任意接種」は受けなくていいの?
乳幼児の予防接種には、おおよその期間が決まっていて公費で受けられる定期接種と、自己負担となる任意接種があります。以下のようなものがあります。
* 定期接種:B型肝炎、ロタウイルス、Hib(ヒブ)、小児用肺炎球菌、四種混合(ジフテリア・百日せき・破傷風・ポリオ)、BCG、MR(麻疹・風疹)、水ぼうそう、日本脳炎
* 任意接種:おたふくかぜ、インフルエンザ など ※地域によって費用助成がある場合もあります
(2023年現在)
では、任意接種は受けなくてもいいのでしょうか?
回答:松永展明さん 定期接種と任意接種に分かれていますが、「任意接種」だから受けなくて大丈夫というものではありません。任意接種が対象とする病気でも、重い後遺症を残したり死亡したりするような病気もあります。 例えば、「おたふくかぜワクチン」は、日本ではまだ任意接種ですが、海外では定期接種になっている国も多くあります。自然感染でおたふくかぜにかかると、耳下のはれ・脳炎・無菌性髄膜炎などの症状があり、後遺症として難聴や不妊のリスクがあります。約500~1000人に1人の割合で難聴になるといわれています。ワクチンで防げる病気は、やはりワクチンで防ぐのが大切だと思います。
風疹ワクチンについて
子どもたちを守るために大人ができる予防接種もあります。それが「風疹ワクチン」です。免疫のない妊娠初期の女性がかかると、赤ちゃんの耳や目、心臓などに障害が生じる場合があります。
実は近年、子どものころ定期接種ではなかった世代の男性を中心に風疹感染が広がり問題になっています。そのため、対象者には市区町村からクーポンが届き、無料で抗体検査や接種ができるようになりました。それ以外の人も、自分の風疹の予防接種歴をパパ・ママ自身の母子手帳で確認できます。また、免疫が十分かどうかなど産婦人科で確認できます。
ワクチンで、大人自身も子どもたちも守れたらいいですね。
まいにちスクスク「子どもの予防接種」の番組記事
- (1)予防接種ってなに?
- (2)予防接種を受けるタイミング
- (3)予防接種の副反応
Eテレの育児情報番組「まいにちスクスク」でこれまでに放送した内容はこちら
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