子どもの予防接種(1)予防接種ってなに?
パパ・ママの「子どもの予防接種」の疑問に、小児科医の松永展明さんが答えます。
講師: 松永展明(国立国際医療研究センター病院/小児科専門医)
予防接種でどんな病気が防げるの?
回答:松永展明さん 命に関わる病気に対してワクチンが作られています。例えば、百日せきです。大人がかかるとせきが長期間続くような症状ですが、小児がかかると、ひどいせきをした後に「無呼吸発作」を起こして、呼吸をしなくなることもあり、死亡例もあります。脳などに影響を及ぼすこともある非常に怖い病気です。
子どもがかかりやすい感染症はたくさんありますが、その中でも特に重い後遺症を残したり、命に関わったりするような病気に対して、ワクチンが開発されてきました。
子どもがかかりやすく、ワクチンがある主な病気は、Hib(ヒブ)感染症、肺炎球菌感染症、麻疹(はしか)、風疹、破傷風、日本脳炎、ポリオ、水ぼうそう、ジフテリア、B型肝炎、百日せき、ロタウイルス胃腸炎、結核、おたふくかぜ、インフルエンザ、新型コロナウイルス感染症などです。
なぜ、赤ちゃんのときから予防接種するの?
回答:松永展明さん 赤ちゃんは免疫が弱く、感染症にかかりやすくて重症化しやすいのです。そのため、できるだけ早い時期に感染症から体を守る必要があります。 例えば、肺炎球菌感染症やHib(ヒブ)感染症は、乳児に多い感染症です。実際に、生後5か月ごろから感染が急に増えます。それ以前にワクチンを接種することが大切です。
肺炎球菌やHib(ヒブ)などの細菌が原因で起こる病気のひとつに、「細菌性髄膜炎」があります。元気だった子が急変し、重い後遺症を残したり、亡くなったりすることもある病気です。
予防するためのワクチンは、生後2か月から接種できる「小児用肺炎球菌ワクチン」と「Hib(ヒブ)ワクチン」になります。
予防接種より、自然に病気にかかったほうが強い免疫がつくの?
回答:松永展明さん 自然感染の場合に、予防接種より強い免疫を長い期間得られることは事実です。ただ、かかったときに合併症(病気が原因となって起こる別の病気)を起こしたり、後遺症が残ったり、ひどい場合は亡くなる可能性もあります。
自然に感染する場合、重症化するリスクが高く、他の人に感染させやすくなります。作られる免疫は強いとされています。
一方、予防接種の場合、重症化のリスクはほとんどなく、他の人への感染はないとされています。作られる免疫は、自然感染に比べると弱い場合もありますが、何度か接種することで十分な効果が得られると考えられています。
日本では流行していない病気の予防接種があるけど、受ける意味はあるの?
回答:松永展明さん 日本で接種できるワクチンの種類が増えてきたことによって、国内で発生する病気も少なくなっています。 一方、海外では、麻疹(はしか)などの怖い病気が発生している地域もあります。国際化社会となり、将来、子どもが海外に行く場合もあります。そのときのためにも、基礎的な免疫をつけて体を守ることは重要です。
ワクチンで防げる病気については、適切な時期に適切な回数、予防接種を受け、命を守ることが大切です。
まいにちスクスク「子どもの予防接種」の番組記事
- (1)予防接種ってなに?
- (2)予防接種を受けるタイミング
- (3)予防接種の副反応
Eテレの育児情報番組「まいにちスクスク」でこれまでに放送した内容はこちら
PR