日常に潜むキケン(3)水回りで起こる溺水事故の予防法と対処法
好奇心旺盛な子どもたちの思ってもみない行動に、ヒヤリとする場面はありませんか? 子どもの事故を防ぐ研究をしている大野美喜子さんに、家の中で起きる、特に命の危険がある事故の予防と対策について教えてもらいました。
講師: 大野美喜子(NPO法人 Safe Kids Japan)
家の中での溺水事故
水の事故は、海や川で起こると思っている方が多いかもしれませんが、1歳の約9割、2~4歳の約5割は、家の中で起こっています。
家の中でいちばん多いのは、お風呂での溺水事故です。親が体を洗っている最中や、子どもより先にお風呂を出たときなど、目を離したときの事故が多く報告されています。子どもは、5~10cmぐらいの浅い水深でも溺れてしまうことがあるので注意しましょう。
子どもが溺れてしまうとき、音をたてず、静かに溺れます。もし目を離したときに子どもが溺れてしまっていても、気づかないことが多いといいます。
首につけるタイプの浮き輪も注意が必要です。浮き輪が外れて事故につながったケースもあります。
子どもの行動範囲が広がると、洗濯機に入ってしまい溺れた、トイレの水で溺れたなどの事故も起きています。
溺水事故を防ぐポイント
こういった水の事故を防ぐにはどうすればいいのでしょうか。
お風呂での対策には、「子どもを後に入れて・先に出す」「子どもだけでお風呂に入れない」「残し湯など、水をためておかない」などがあります。
日頃からできる対策には、浴室に鍵をかける・ベビーゲートを設置するなどがあります。子どもに「浴室付近では遊べない」と意識させましょう。
ほかにも、洗濯機の水・洗面器やバケツの水でも溺れる可能性があるので、水がたまっているところがないか確認しましょう。
もしも溺れてしまったら
子どもが溺れてしまったら、どうすればいいのでしょうか。岸部峻さん(東京都立小児総合医療センター)に聞きました。
救急要請と心肺蘇生
溺水したときは、救急要請して、その後にできるだけ早く心肺蘇生を開始してください。時間がたてばたつほど、救うことが難しく、後遺症が残ってしまいます。
肺に水が入ると体に酸素を送ることができないので、「胸骨圧迫」だけではなく、適切に「人工呼吸」することが大切です。
まずは救急車を呼び、意識があるか・呼吸しているのか確認しましょう。
呼吸があれば、頭を横向きにし、呼吸をしやすくします。体が冷えないようにタオルなどでぬれた体を拭いて、安静にしましょう。
意識がないときに水を吐かせると、気管に入って大変危険です。無理に水を吐かせずに、すぐに心肺蘇生法を行います。
まずは「胸骨圧迫」です。平らなところに寝かせて、胸の真ん中部分を手のひらの付け根で押します。30回、強く絶え間なく押していきます。
※1分間に100~120回のペースで押します
次に「人工呼吸」を行います。片手を額にあて鼻をつまみ、反対の手であご先を持ち、頭を大きく後ろに反らせて気道を開通させます。
口を覆うようにして、直接2回息を吹き込みましょう。このとき、息が吹き込まれて胸が上がることを確認します。
救急隊が到着するまで、胸骨圧迫と人工呼吸の心肺蘇生法を繰り返します。
大野美喜子さん 水回りでは、子どもをひとりにしないよう気をつけてください。
まいにちスクスク「日常に潜むキケン」の番組記事
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