子どもの防犯(3)SNSの危険性
子どもを狙った犯罪や事件、心配ですよね。犯罪から子どもを守るにはどうしたらいいのでしょうか。子どもの防犯にくわしい小宮信夫さんに話を聞きました。
講師: 小宮信夫(立正大学 文学部社会学科 教授/犯罪学)
ネットやSNSも、入りやすく見えにくい場所
インターネットやSNSの世界は、入りやすく見えにくい危険な場所です。匿名性が非常に高く、実際は誰なのかがよくわからない、見えにくい場所です。
そんな場所に、子どもの情報を流してしまうと、簡単に悪意のある第三者の手に渡り、悪用される危険性があります。親が流した情報で、子どもが犯罪に巻き込まれてしまうことがあるのです。
たくさんの情報から個人が特定される
SNSに子どもの写真を投稿する人が多くいます。おそらく「たかが1枚の写真。これで個人を特定されることはないだろう」と思うかもしれません。
ですが、SNSにはたくさんの写真がアップされています。それらを組み合わせることで、個人を特定していく犯罪者が多くいます。その手法は、「モザイクアプローチ」「ジグソーパズルアプローチ」などと呼ばれています。パズルのピースを集めて組み立てるように、個人を特定していくわけです。
SNSに投稿する際に注意するポイント
身につけている名前に気をつけて!
例えば、遊びに行ったときの写真を投稿するとき、子どものバッグに名前が書いてあると、それだけで名前が特定されます。大人の場合も、社員証などのネックストラップが写っていれば、名前がわかります。また、「今日は〇〇ちゃんと一緒に」と投稿されていれば、他の情報と組み合わせて名字・名前が特定されることもあります。名前などの個人情報を、気づかずに投稿してしまうケースは多く、注意が必要です。
撮影する場所に注意!
撮影する場所にも注意が必要です。例えば園の前で撮影すると、どこの園なのかがわかり、どのあたりに住んでいるのか推測できてしまいます。ほかにも、「今から遊びに行きます」という投稿で駅が写っていたり、「病院に行ってきました」と病院の前で写真を撮ったり、そのような情報から、だんだんと個人の家が特定されていきます。
また、電信柱や自動販売機が写るような場所も気をつけないといけません。電信柱や自動販売機には、住所が書かれています。写真を拡大すると住所がわかるので、行動範囲を推測させてしまいます。このような場所にも注意して投稿しましょう。
恨みつらみをかきたてない
SNSに投稿するとき、自分の楽しい思い出や子どもの成長の喜びなど、いわゆる「幸せ自慢」と受け取られてしまう内容については、公開範囲を友達限定にするなど、他人の恨みや妬みをかきたてないような投稿が望ましいでしょう。
デジタルの世界には「デジタルタトゥー」という言葉があります。バーチャル空間に出た情報は、入れ墨のようになかなか消すことができない、という意味です。SNSに投稿する場合でも、慎重に文章を書いたほうがよいでしょう。
子どもを犯罪から守るためにも、SNSの投稿内容には気をつけてください。
まいにちスクスク「子どもの防犯」の番組記事
- (1)子どもにとって危険な場所
- (2)親が気をつけるべきこと
- (3)SNSの危険性
Eテレの育児情報番組「まいにちスクスク」でこれまでに放送した内容はこちら
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