子どもの防犯(2)親が気をつけるべきこと
子どもを狙った犯罪や事件、心配ですよね。犯罪から子どもを守るにはどうしたらいいのでしょうか。子どもの防犯にくわしい小宮信夫さんに話を聞きました。
講師: 小宮信夫(立正大学 文学部社会学科 教授/犯罪学)
親子で行動していても
未就学児は、親子で行動を共にすることが多いですが、それでも犯罪に巻き込まれてしまうケースがあります。親は子どもから目を離さないようにしていても、不特定多数の人が集まる場所だと、油断してしまいます。たくさん人がいるため、「仮に自分が見ていなくても、誰かがうちの子を見てくれる」と思ってしまうのです。
実際に、親が目を離した隙に、子どもが犯罪に巻き込まれたケースをみてみましょう。
子どもが犯罪に巻き込まれたケース
ケース1 駅前の公園
駅前の子ども広場で、子どもが連れ去られてしまったケースがあります。
その子ども広場は、フェンスで囲まれていませんでした。広場の遊具のすぐそばを、たくさんの大人が行き交っている状況です。つまり、簡単に別の大人が子どもに近づいて、話しかけることができるのです。また、そのような状況を、周りの大人が気づきません。
広場や公園では、子どもも笑顔ではしゃぎ、たくさんの大人もいるので、安全だと錯覚しがちです。親は心の隙をつくらないことが大事です。
ケース2 家電量販店のゲームコーナー
買い物客がごった返す大型の家電量販店。そのゲームコーナーで、ひとりで遊んでいた男の子が連れ去られたことがありました。
人が多くにぎやかな場所は、親の注意も散漫になります。こうした場所では、特に子どもから目を離さないように注意しましょう。
ケース3 スーパーマーケット
母親がスーパーマーケットでの会計中、子どもがトイレに行きたくなり、ひとりで行かせてしまったケースもあります。
そのスーパーには、たくさんの従業員と買い物客がいました。実は、このケースの犯人は、4時間もその場所で子どもを物色していたのです。多くの人が、この犯人を見ていたはずですが、注意や監視が分散しているため、事件が起きた後も、すぐには目撃情報が出てきませんでした。
日頃行き慣れている場所でも、不特定多数の人がいる場所では、子どもを1人にさせてはいけません。
傍観者効果
こういった場所では、「傍観者効果」というものが発生します。たくさん人がいると、自分が助けなくても、誰かが助けるだろうと発想してしまうことをいいます。
スーパーマーケットのケースで考えると、みんなが「自分が通報しなくても、誰かが従業員に言うだろう」と思ってしまい、結果的に誰も通報したり従業員に伝えることがないのです。また、「誰も言わないのであれば、大したことではない、深刻な状況ではない」と、いいほうに考えてしまいます。
不特定多数の人がいる場所では「傍観者効果」が起こります。キャンプ場、海水浴場、遊園地など、大勢の人が集まる場所でも、「誰かが見てくれている」という意識を持たずに、短い時間であっても子どもから目を離さないように心がけてください。
まいにちスクスク「子どもの防犯」の番組記事
- (1)子どもにとって危険な場所
- (2)親が気をつけるべきこと
- (3)SNSの危険性
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