子どもの防犯(1)子どもにとって危険な場所
子どもを狙った犯罪や事件、心配ですよね。犯罪から子どもを守るにはどうしたらいいのでしょうか。子どもの防犯にくわしい小宮信夫さんに話を聞きました。
講師: 小宮信夫(立正大学 文学部社会学科 教授/犯罪学)
犯罪に巻き込まれないために
子どもが連れ去られた事件を調べてみると、その8割は、無理やりではなく、だまされて連れて行かれています。ほとんどの誘拐犯は、不審者のように見えないのです。
犯罪に巻き込まれないためには、日頃から危ない場所がどんなところなのか知ることが必要です。犯罪学の研究によって、2つの条件が満たされた場所で、犯罪が起こりやすいとわかっています。1つは「入りやすい場所」、もう1つが「見えにくい場所」です。
入りやすい場所
まずは、子どもたちがよく行く「公園」を例に見てみましょう。
例えば、周りにフェンスなどがなく、どこからでも出入りできる公園は、犯人にとって「子どもをだまして、どの方角にでも、すぐに連れ出せる」という状態です。入りやすい場所は、犯人が逃げやすい場所でもあります。入りやすい場所は危ないと考えておきましょう。
フェンスで囲まれていても、出入り口が5~6か所あるなど数が多い場合も、出入り口が限定されている公園に比べれば、入りやすい場所といえます。
見えにくい場所
見えにくい場所とは、子どもの姿が見えにくい状態をいいます。よく見渡せる公園でも、周りに家の窓がないときは、子どもを見る人の目がないので、見えにくい場所だといえます。
周りの家に窓があっても、木が生い茂って窓から公園や遊具の様子が全く見えないのであれば、見えにくい危険な公園だといえます。
安全な公園は、フェンスに囲まれていて、周りの家の窓がよく見える公園です。
街の中の危ない場所
それでは、街の中ではどんなところが、入りやすく・見えにくい危険な場所なのでしょうか。
例えば、ガードレールがない道は、入りやすい場所といえます。これまでの誘拐事件を調べると、ほぼ全ての犯人は、車をガードレールのない場所に停めていました。ガードレールがあれば、入りにくい場所になるのです。
子どもたちが遊んだり歩いたりする生活圏では、家がたくさんあって家の窓から子どもたちが見えれば、安全な場所といえます。家があっても、塀や生け垣で子どもの姿を見てもらえない場合は、見えにくい危険な場所になります。
さらに、歩道橋も気をつけなければいけません。歩道橋は、登るところと降りるところが複数ある、入りやすい場所なのです。歩道橋の下を通る車や歩行者は、注意深く歩道橋の上の人を見ていないため、子どもが犯罪に巻き込まれるリスクがあります。
改めて自宅の周りを親子で散歩しながら、「入りやすく・見えにくい」危険な場所はどこなのか、子どもと確認してみましょう。
犯罪を未然に防ぐことができるかもしれません。
まいにちスクスク「子どもの防犯」の番組記事
- (1)子どもにとって危険な場所
- (2)親が気をつけるべきこと
- (3)SNSの危険性
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