乳幼児の皮膚トラブル(3)アトピー性皮膚炎
赤ちゃんの肌はつるつる・すべすべだけど、とてもデリケート。小さいうちからのスキンケアが大切です。乳幼児のスキンケアについて教えてもらいました。
すべすべに見える乳幼児の皮膚はとても傷つきやすいので、日頃からのケアが大切です。今回は「アトピー性皮膚炎」についてです。
講師: 馬場直子(神奈川県立こども医療センター 皮膚科部長)
アトピー性皮膚炎の治療
多くの人が悩んでいるアトピー性皮膚炎は、遺伝やダニ・ホコリなどの生活環境、皮膚の乾燥が原因です。かゆみのある湿疹が、慢性的に良くなったり悪くなったりすることを繰り返します。
最も有効な治療薬は、ステロイド外用薬です。「副作用が心配」と言って避ける人もいますが、それは間違った認識です。ステロイド外用薬は医師の指示に従って正しく使えば、十分に安全な薬です。
症状が収まったと思ってステロイド外用薬を自己判断でやめてしまうと、ぶり返してしまうことがあります。アトピー性皮膚炎を火事に例えると、ステロイド外用薬は水や消火剤です。炎が上がったら、まずは火元に向かってふきつけます。火が収まったと思い込んで自己判断でやめてしまうと、種火から再び大きな火事になります。つまり、炎症を再度、引き起こしてしまうのです。
一旦きれいに治ったように見えても自己判断で薬をやめてはいけません。治ったように見えたら、まずは「1日おき」に塗りましょう。それで症状が出てこなければ、「3日に1回」というように、ゆっくりと塗る回数を減らしていきます。
このように、徐々に日を空けて使用量を減らしていく「プロアクティブ療法」を、医師の指導のもとに続けていくことが、再発の予防につながります。
アトピー性皮膚炎の予防のために
アトピー性皮膚炎の予防には、赤ちゃんのときから体を清潔に保つことが大切です。首がまだ座っていないときに難しい、赤ちゃんの洗い方のコツを紹介します。
洗い方
まず、洗うときに赤ちゃん専用のバスマットを用意します。
バスマットの上に柔らかいタオルを一枚敷いて滑りにくくしてから、赤ちゃんを寝かせます。
液状のボディソープや固形石けんは、しっかり泡立てて使うことが大切です。
こすらず、肌を包みこむようにやさしく洗いましょう。
赤ちゃんの皮膚は重なり合っています。首や手首、ひざやひじの内側には汚れがたまりやすいので、皮膚のしわを広げて、中まで丁寧に洗いましょう。
指先でかき出すように洗うのではなく、指の腹を使ってやさしく洗ってください。
保湿のしかた
入浴後は、5~10分以内に保湿剤を塗りましょう。泡立てた石けんで洗ったあとは皮脂が落ちて、乾燥しやすくなります。外からの刺激にも弱くなり、皮膚の水分が蒸発してますます乾燥し、皮膚のトラブルにつながります。
肌に塗る保湿剤は、ローションタイプなら1円玉ぐらいの大きさの量。
クリームタイプの保湿剤なら、大人の指先から第一関節ほどの量。
それぐらいを、大人の手のひら2枚分の面積に塗るのが適量です。
馬場直子さん 生後すぐから全身に保湿剤を塗って肌を守ることは決して早すぎることではありません。アトピー性皮膚炎や食物アレルギーのリスクを下げることにつながります。ぜひ、楽しい雰囲気でスキンケアしてみてください。
まいにちスクスク「乳幼児の皮膚トラブル」の番組記事
- (1)スキンケアの基本とあせも
- (2)食物アレルギーとスキンケア
- (3)アトピー性皮膚炎
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