離乳食は、赤ちゃんの「食」のはじめの一歩。管理栄養士の太田百合子さんに、離乳食の基本を教えてもらいました。
今回は、離乳食を始める前に知っておきたいことです。
講師: 太田百合子(管理栄養士)
始める前からできる準備
現在、「離乳食は生後5~6か月ごろに始める」とされていますが、もっと小さいうちからできる準備もありあます。
まずは赤ちゃんも、家族と一緒に食卓を囲むようにしてみましょう。おいしそうに食べる姿を見せると刺激になります。
口の周りや唇を触る「ふれあい遊び」や、「歯固め」などのおもちゃで遊ぶことは、食べ物を口に入れる準備になります。
離乳食開始のサイン
離乳食は、「5か月になったからスタート」とは決まっていません。赤ちゃんの発達に合わせてはじめてください。
目安は授乳間隔が3~4時間になり、生活リズムが安定してきたかどうか。
そして、体幹がしっかりしているか、です。首がすわって寝返りができること、5秒ぐらいおすわりできることが大事です。
スプーンを口に入れても舌で押し出すことが少なくなる、食べる様子に興味を持つ、よだれが出るといった様子は、「離乳食を始める準備ができた」というサインです。
全部でなくてもよいので、サインがいくつか見られたら、離乳食を試しに始めてみましょう。
離乳食を食べるとき
食べるときは、赤ちゃんの手を拭いてあげる、エプロンをつけてあげて、おすわりをさせるなど、「さあ、食事だよ」という食事の流れをつくります。テレビを消す、おもちゃを片づけるなど、食べることに集中できるような環境をつくってあげたいですね。
食べるときの姿勢も発達に合わせて、食べやすいようにします。
「ごっくん」できるまでは、だっこ、または少し後傾の姿勢にしてあげると、ポタージュ状のものを飲み込みやすくなります。
腰がすわり、上手に飲み込めるようになったら、足裏全体がついて踏ん張れる椅子にすると、かみやすくなります。テーブルの高さはひじがつくくらいにします。
腰回りがぐらつかないよう、箱やタオルなどで固定させるとうまく食べやすいでしょう。
離乳食のあげ方
ごはんは赤ちゃんが機嫌がよいときにあげましょう。
スプーンの食べものを見せて・声をかけて、下唇にのせて、上唇がおりるのを待って、まっすぐスプーンを引きます。飲み込む様子が見られたら、次のひとくちを食べさせるようにします。
食物アレルギーについて
初めて食べる食材を大量にあげてしまうと、食物アレルギーの症状が強く出てしまう可能性があります。1日1種類をひとさじずつ、比較的機嫌がよく、病院に行きやすい午前中など、診療時間内にあげるようにしましょう。
食べてから2時間程度様子を見て何もなければ、次から増量していきます。
※個人差があるため、遅く症状が出る場合もあります
赤ちゃんが特に食物アレルギーに気をつけたい、卵、乳製品、小麦は、ごく微量から与えましょう。
肉や魚などたんぱく質やナッツ類、果物に比べて、野菜はアレルギーが起こりにくいので、あまり神経質にならず、食べられるものを増やしていきましょう。
※食物アレルギーのリスクが高いお子さんは、医師に相談しながら進めてください
最初のごはん
米は、アレルギーが起こりにくく、甘みがあり、軟らかくとろみがあり、調理もしやすいので、最初のごはんに適しています。
最初は飲み込みやすいよう「10倍がゆ」で、飲みこむのが上手になったら徐々に水分を減らし、形のあるごはんにしていきます。月齢ではなく、うわあごと舌でつぶしているか、飲み込めているかなど、子どもの食べる様子を見て進めましょう。
※レシピメモはこちら
おかゆが苦手な子には、無理に食べさせず、別のものでも構いません。甘みのあるにんじんは初めての野菜におすすめです。
作ったものを食べなくても心配しないでください。赤ちゃんにとって、見せるだけでも学習になります。
離乳食を始めても、母乳やミルクは飲みたいだけ飲ませてあげてもよく、やめる必要はありません。焦らず、赤ちゃんのペースで進めていきましょう。
レシピメモ
おかゆは炊いたごはんを使って、電子レンジで作ることができます。
材料
10倍がゆ(約5回分)
- ごはん
- 40g
- 水
- 200ml
7倍がゆ(約5回分)
- ごはん
- 80g
- 水
- 240ml
5倍がゆ(約4回分)
- ごはん
- 120g
- 水
- 240ml
軟かめのご飯(約3回分)
- ごはん
- 140g
- 水
- 140ml
作り方
- 大人用に炊いたごはんを、ラップに包んで指でつぶします。
※つぶすのは「7倍がゆ」までです - 大きめの耐熱ボウルにごはんを入れ、水を加え、スプーンでほぐします。
- 耐熱ボウルに、ふんわりとラップをかけ(端を少し開けます)、電子レンジ(600W)で5分ほど加熱します。
- 電子レンジから取り出したら、混ぜて、ラップをかけたまま10分ほど蒸らします。
※「10倍がゆ」の場合は、粗熱が取れたらハンドミキサーやすり鉢などで、なめらかになるまですりつぶします
冷凍保存について
余ったおかゆは小分けにして冷凍できます。保存目安は1~2週間です。
解凍するときは、耐熱ボウルに冷凍のごはんと少量の水を入れ、ふんわりとラップをかけ(端を少し開けます)、電子レンジ(600W)で温かくなるまで1分30秒~2分ほど加熱します。
※同じ水分量で鍋に入れ、弱火にかけて作ることができます
まいにちスクスク「離乳食のきほん」の番組記事
- (1)離乳食を始める前に知っておきたいこと
- (2)離乳食の栄養について
- (3)離乳食のよくある悩み
Eテレの育児情報番組「まいにちスクスク」でこれまでに放送した内容はこちら
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