誤飲、やけど、ケガ。子どもに、もしものことがあったとき、どうすればいいのでしょうか? 飯村知広さんに、いざというときの対応と応急手当について教えてもらいました。
今回は、心臓マッサージ・人工呼吸・AEDなどの、心肺蘇生法です。
講師: 飯村知広(チャイルド・ライフェス横浜 小児救急看護認定看護師) 保護者が応急手当の方法を知っておくことで、もしものときもしっかり対処できるようになります。
心肺蘇生はなぜ必要?
※立川防災館:2018年取材。2021年10月現在は人数制限して開催。
心臓マッサージや人工呼吸は、自治体、消防などで講習会が開催され、ママ・パパへの普及が望まれています。
子どもの場合、心停止になる主な原因は、溺水・のどに異物が詰まる窒息・乳幼児突然死症候群などです。
子どもが、もっともよく溺れる場所が、家庭のお風呂です。短い時間、少しの水量でも事故は起きます。乳幼児突然死症候群は、赤ちゃんの呼吸が眠っている間に止まってしまう病気で、生後2か月から1歳に多くみられます。いずれも場合も、迅速な人工呼吸が必要になります。
一般に、「人工呼吸に自信がない場合は、心臓マッサージだけでよい」といわれることがありますが、子どもにとっては人工呼吸をしっかりとすることがとても大切です。人工呼吸を身につけることが、救命率を上げることにつながります。
また、救急車の到着時間は、全国平均で8.7分(※)です。到着まで、ママ・パパの的確な行動によって命を救える可能性が高くなります。
※令和元年中の全国平均 令和2年 総務省より
心肺蘇生法
意識の確認
まずは、意識を確認します。
幼児(1歳以上)の場合、「大丈夫?大丈夫?」など、大きな声で声をかけながら、肩をたたきます。
乳児(0歳)は、足のうらを刺激して反応を見ます。
119番通報
次に、「すみません、誰かいませんか? 119番とAEDをお願いします」のように、まわりに呼びかけます。人がいないときは、自分で119番通報をしてください。
胸やおなかの上がり下がりを観察し、「ふだん通りの呼吸がない」「呼吸の状態がよく分からない」と判断したら、迷わず心臓マッサージを開始します。
心臓マッサージ・人工呼吸
幼児(1歳以上)の場合
幼児(1歳以上)の場合、圧迫するのは胸の骨、下半分の位置です。手のひらの根元をあて、腕をまっすぐにして、強く、早く圧迫します。
心臓マッサージ30回につき、人工呼吸を2回おこないます。
気道を確保するため、あご先を持ち上げ、鼻をつまみ、口を覆って、息を吹き込みます。
このとき、胸が上がっていることを確認します。
乳児(0歳)の場合
乳児の場合は、乳首を結んだ線の少し下側を、2本の指で強めに押します。
人工呼吸は、口と鼻、両方をおおって、息を吹き込みます。乳児は、口だけだと空気が入りにくいためです。
AED
AEDが届いたら、すぐに電源を入れ、音声ガイドに従って操作します。
音声ガイドから「パッドを青いシートからはがして図のように貼ってください」と指示があったら、
胸をはだけ、2枚のパッドを、イラストの通りしっかり貼りつけます。
乳児は、パッドどうしが接触しないよう、体の前後に貼ります。
パッドを貼ると、自動で心電図の解析が始まります。
音声ガイドから「体から離れてください。点滅ボタンをしっかり押してください」と指示があったら、ボタンを押して、電気ショックを行います。
電気ショックの後は、すぐに心臓マッサージと人工呼吸を再開します。2分ごとに心電図が解析され、音声ガイドが操作の指示をしてくれます。
音声ガイドから「電気ショックは必要ありません」と指示があった場合も、AEDをつけたまま、心臓マッサージと人工呼吸を行います。
ママ・パパの中には、「自分の心肺蘇生法や応急手当が正しかったのか」という後悔の気持ちを持ち続ける方もいます。多くの保護者に心肺蘇生法を身につけてほしいと思います。 (飯村知広さん)
まいにちスクスク「応急手当」の番組記事
- (1)窒息・誤飲
- (2)家庭で多いケガ
- (3)心肺蘇生法
- (4)119番通報と相談先
Eテレの育児情報番組「まいにちスクスク」でこれまでに放送した内容はこちら
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