誤飲、やけど、ケガ。子どもに、もしものことがあったとき、どうすればいいのでしょうか? 飯村知広さんに、いざというときの対応と応急手当について教えてもらいました。
今回は、窒息・誤飲の応急手当です。
講師: 飯村知広(チャイルド・ライフェス横浜 小児救急看護認定看護師) 保護者が応急手当の方法を知っておくことで、もしものときもしっかり対処できるようになります。
誤飲で注意するもの
子どもは、生後5か月ごろから何でも口に入れるようになり、窒息の事故も増えます。
3歳児くらいだと、口を広げたときの大きさが最大3.9cmといわれています。家庭にあるものだと、トイレットペーパーの芯の直径が約4cmです。ここを通る大きさのものは誤飲の危険性があるので注意しましょう。
例えば、おもちゃのパーツや、小さく分かれるものなどに注意が必要です。
おもちゃに示されている対象年齢表示を目安にしましょう。
異物を口に入れたときは
子どもが異物を口に入れているところを発見したとき、急に大きな声で話しかけると、子どもがびっくりして飲み込んでしまうことがあります。慌てず、やさしく声をかけ、口から出させてあげましょう。
のどにつまりやすい食品
食べ物も、窒息の原因になります。
「丸くてつるつるしたもの」「かみ切りにくいもの」は、のどにつまりやすく注意が必要です。
特に、ピーナッツなどの硬い豆やナッツ類は、6歳になるまで食べさせないでください。ミニトマトやブドウは、4等分などに細かく切ってからあたえましょう。
のどに詰まったときの対応
ものがのどに詰まって「窒息しているかもしれない」と思ったら、119番通報と窒息の応急手当を行ってください。
「声が出ない」「息が苦しそう」「顔色が悪い」などは、窒息したときのサインです。窒息すると、数分で呼吸が止まってしまうため、すぐに応急手当が必要です。
応急手当の方法は、年齢によって違います。
乳児(0歳)の応急手当
まず、0歳の乳児の場合です。
まず、「背部叩打法」を行います。手の上に、赤ちゃんをうつ伏せにして乗せ、しっかり頭を支えます。
この姿勢で背中をたたいていきます。たたく位置は、肩甲骨と肩甲骨の間です。手の付け根を使って、5回たたきます。
次に「胸部突き上げ法」を行います。手の上に、赤ちゃんを仰向けにして、手のひら全体で頭を支えます。
この状態で、乳首と乳首の真ん中の少し下の位置を、2本の指で5回押します。
異物が出てくるまで、2つの方法を交互に繰り返します。
幼児(1歳以上)の応急手当
続いて、1歳以上の場合です。
腹部突き上げ法
子どものうしろにまわって、おなか付近に手をまわします。おへそのすぐ上の位置に、握りこぶしを作ってください。
握りこぶしを斜め上の方に、3回突き上げます。思っている以上に強い力で圧迫します。
背部叩打法
腹部突き上げ法がやりづらいときは、背中を叩く方法を行います。
肩甲骨と肩甲骨の間を、手の付け根を使って、強く5回たたきます。
意識がなくなったら
もし、途中で意識がなくなったら、心臓マッサージと人工呼吸を開始してください。
子どもの誤飲事故
子どもの誤飲事故で多いのが、たばこや薬です(※)。もし飲み込んでしまったら、家庭では無理に吐かせないことが大切です。
子どもが嫌がったりせき込んだりして、焦って何かを飲ませてしまうと、気管に入り込んでしまう可能性があります。口の中に残っているものがあれば取り除き、口をすすいでうがいをしてください。
自分で判断はせず、医療機関などに相談しましょう。
※2018年 厚生労働省より
中毒110番
中毒110番に電話すると、薬剤師などのアドバイスを受けることができます。無料で全国から問い合わせ可能です。
〇大阪 072-727-2499(365日 24時間対応)
〇つくば 029-852-9999(365日 9時~21時対応)
まいにちスクスク「応急手当」の番組記事
- (1)窒息・誤飲
- (2)家庭で多いケガ
- (3)心肺蘇生法
- (4)119番通報と相談先
Eテレの育児情報番組「まいにちスクスク」でこれまでに放送した内容はこちら
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