もっと知りたい!母子健康手帳(1)母子健康手帳のキホン
妊娠するともらえる母子健康手帳は、赤ちゃんがおなかにいるときから大人になるまでの大切な健康の記録です。母子健康手帳にくわしい、小児科医の中村安秀さんに教えてもらいます。
実は、日本発祥の母子健康手帳。今回は、その歴史や内容について紹介します。
講師: 中村安秀(大阪大学 名誉教授/小児科医)
母子健康手帳の歴史と特徴
1942年、日本では妊産婦の健康管理を基本にした「妊産婦手帳」がつくられ、子どもの健康記録である「乳幼児体力手帳」もありました。1948年には、別々だった手帳を1冊にまとめた「母子手帳」が交付されます。母親と子どもの健康記録を一緒に見る手帳は、世界初の試みだったのです。妊産婦手帳・母子手帳は、物資が少なかった時代に、乳児に必要なものを優先的にもらえる配給手帳も兼ねていました。
いちばんの特徴は、妊娠中の母親と 生まれた子どもの健康の記録を1冊の手帳で管理できること。保護者が、健康記録や医療情報を家庭で持つことができるのも大きな特徴です。「母子手帳」は、1966年に「母子健康手帳」に改称されました。誕生から長年にわたって、日本の乳児死亡率の低下にも大きな役割を果たしています。
母子健康手帳の内容
母子健康手帳の内容はどのようなものでしょうか。パパ・ママ自身の母子健康手帳が残っているご家族に、それぞれの手帳を見比べてもらいました。
※2021年3月現在の情報です
前半は主に健康の記録で、全国共通の内容になっています。改訂を重ねているものの、パパ・ママの手帳と子どもの手帳でも大きな違いはありません。
妊娠中に妊婦が自分の体調等を記入するページは、2012年から多くなりました。書くことで出産への心構えと準備ができ、受診時の参考にもなります。
母親・父親の育児不安をサポートするためのページも設けられています。
うんちの色をチェックできるカラー・ページも追加されました。
いつの時代でも、必ずあるのは予防接種の記録。今はシールで色分けされて見やすくなっています。感染症の予防に加え、海外に渡航するときなど、重要な記録になります。大人になってから、どの予防接種を受けているか確認することもできます。
健診の記録と並んでいる「保護者の記録」には、時期ごとに子どもの発達を見て親自身が記入します。
難聴などの病気の早期発見につながるチェック項目もあるので、しっかり記録しましょう。そのときできないことがあっても、できるようになった日を書き込めば大丈夫です。
発育曲線のページには、身長・体重を記録します。親自身の手帳と子どもの手帳を見比べると、似ているところと違うところがわかっておもしろいかもしれません。
母子健康手帳の目的
誰でも、どこでも、切れ目のない医療支援を受けられるようにするのが、母子健康手帳の目的です。
日本にいる外国人の親子のために、各国の言語(9言語)の母子健康手帳も発行されています。
親から子へ、大切に受け継ぎたいですね。
まいにちスクスク「もっと知りたい! 母子健康手帳」の番組記事
- (1)母子健康手帳のキホン
- (2)母子健康手帳を活用しよう
- (3)これからの母子健康手帳
- (4)父子手帳ってどんなもの?
Eテレの育児情報番組「まいにちスクスク」でこれまでに放送した内容はこちら
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