産後の心と体(3)産後ケア事業
出産と同時に始まる子育て。でも、ケアが必要なのは赤ちゃんだけではありません。産後のママの心と体は想像以上のダメージを受けています。
今回は、助産師の経験をいかして産後の母子ケアを推進している市川香織さんに、産後ケア事業について教えてもらいました。
講師: 市川香織(東京情報大学 准教授/助産師/母性看護学)
助産院の産後ケア事業
現在、産後ケア事業が全国的な取り組みとして始まっています。産後のサポートが受けられない方、家族の支援が受けられない方など、育児不安がある産後1年以内の母子を対象に、助産師などが産後ケアを提供するサービスです。
こちらの助産院は横浜市からの委託を受けて、産後ケア事業をおこなっています。日帰りや宿泊で施設に滞在する方法と、自宅に訪問してもらう方法があります。
乳房のマッサージをはじめ、体のメンテナンスや、栄養バランスを考えた食事のサービスが受けられます。滞在している間は赤ちゃんを預かってもらえるので、ママは心身ともにゆっくり休むことができます。
新型コロナの影響で母親学級がなくなって、こんなに子育てが体力的にハードなんだとイメージできていませんでした。それでサービスを受けようと思ったんです。
赤ちゃんのもく浴のコツも教えてもらえました。
こうしたサービスを利用することで、安心して2人目を出産することもできました。今日も久しぶりにひとりでゆっくり湯船につかれて、ゆっくりできました。
子どもだけではなく、お母さんのことも迎えてくれるような雰囲気で、「困ったことや不安なことがあったら、いつでも話してね」と言ってもらえます。孤独じゃないと知れたことは大きかったです。
2人目の子育てに不安があって利用しました。赤ちゃんの成長を一緒にみてくれる人の存在が心強いと感じます。
子育てにはいろいろな情報があって、あれもこれもしないといけない、と思ってしまうのですが、「この子は表情がすごくいいから、これまで通りで大丈夫ですよ」のように、今のままでいいよと言ってもらえて、そのたびに深呼吸できるような感覚です。
この助産院の院長は、親に頼れない状況の方が多くなっている中で里帰りのような場所になることが求められているのでは、と考えているそうです。
産後ケア事業の目的は、育児の不安を解消し、子どもとの新しい生活を踏み出す一歩を後押しすることなのです。
産後ケア事業を積極的に利用しよう
産後は、どうしても自分たちだけで頑張ろうとしている方が多くいます。でも、この大変な時期に誰かの手を借りることは、決してぜいたくなことではありません。産後ケアは、自治体に申請すると助成が受けられる場合もあります。まずは自分自身が元気になるために、手間をいとわず、産後ケア事業を積極的に利用しましょう。
Eテレの育児情報番組「まいにちスクスク」でこれまでに放送した内容はこちら
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