子育ての疲れ。みなさんはどんなときに感じますか? 夫が育児に参加してくれない、コロナ禍での閉塞感で疲れる、「子育てがつらい」と言えないなど、さまざまな理由で疲れを感じているママたちがいます。そんな「子育ての疲れ」について、専門家と一緒に考えます。
専門家:
大日向雅美(恵泉女学園大学 学長/発達心理学)
倉石哲也(武庫川女子大学 心理・社会福祉学科 教授)
今回のテーマについて
頑張ることと疲れて放り投げたくなることはワンセット
大日向雅美さん
子育てを一生懸命頑張ることと、ときには音をあげて放り投げたくなるくらい疲れることは、ワンセットです。どちらも真実で、どちらかだけということはありません。それなのに、子育ての楽しさや、子どものかわいさしか言えないと思わせたり、思い込んだりするのは不自然なことなのです。
愚痴を言うことも大事
倉石哲也さん
子育ては命を守る作業でもあります。ひとりで何もできない、泣くことしかできないような赤ちゃんを育てることは、とても大変なことです。そこで一生懸命に頑張っている人には、どこかで息抜きをしてほしい。ときには愚痴を言うことも、とても大事なことだと思います。
子育てを夫に頼れず、精神的に疲れる…
新型コロナで先が見えなくて、閉塞感で疲れがたまる…
「子育てがつらい」となかなか言えない…
大日向雅美さん
子育て真っ最中のお母さんたちは、本当によく頑張っていらっしゃいます。つらいことがあったら、自分に矢を向けないでください。私が疲れるのは、私がおかしいわけではなく、世の中が、社会がおかしいのだと思ってください。そこから解決への道を探していきましょう。そして、子育てから視野が広がって、みんなでスクラムが組める。ひとりひとりが視野を広げることで、「子育ては社会のみんなで」というスローガンが現実のものになると思います。
倉石哲也さん
子育ては命を守る尊いことでもあるので、疲れをも誇りにしていただきたいと思います。一生懸命に頑張っていることを、誰も言葉にしてくれないかもしれません。こんな時期だから、とても難しいかもしれません。それでも、「自分はこれだけ頑張っている。疲れるほどやっている」という誇りを、しっかりと持っていただきたい。だから、愚痴が言いたくなっても、それだけ一所懸命、真面目にやっているんだと、発想を転換していただきたいと思います。