「あきえの知ってビックリ!! 赤ちゃんの世界」液体ミルク
赤ちゃんグッズの研究・開発現場にお邪魔して、どのように作られているのかレポートする「あきえの知ってビックリ!! 赤ちゃんの世界」。今回は、産休中の鈴木あきえさんに代わって、横澤夏子さん(8か月女の子のママ)が「液体ミルク」について調べました。
液体ミルクとは?
液体ミルクは、2019年から販売が開始され、まもなく2年。粉ミルクのような手間がかからず、簡単に赤ちゃんにあげられるミルクです。
国内ではじめて液体ミルクを製造したメーカーの研究室にお邪魔して、商品開発研究所リーダーの永富宏さんにお話を伺いました。永富さんは、3年間、液体ミルクの試作とテストを繰り返し、国内で初めて製造、商品化に成功しました。
液体ミルクで気になる「栄養・味・賞味期限」について聞いていきます。
原材料は30種類!?
こちらの研究室では、赤ちゃんにとってバランスのいい栄養のミルクを研究しています。母乳の代わりになるものなので、特に栄養については慎重に研究を重ねているそうです。
これは、液体ミルクの1本あたりの原材料です。微量のものまで含めて30種類にもなります。
最初は粉ミルクを溶かして殺菌したものを試作したものの、長期保存できるように、原材料をいちから見直しています。30種類近くの原材料をひとつひとつ組み合わせ、100回近く試作と工場テストを繰り返して改良してきました。
災害の現場で手軽に使えるミルクを
永富さんが開発を始めたきっかけは、2016年の熊本地震だったそうです。被災地で子育てをするパパ・ママにとっての悩みのタネは授乳でした。災害のストレスから母乳が一時的に出にくくなったり、粉ミルクを作るための清潔なお湯を入手するのも難しかったからです。
3人の子どものパパでもある永富さんは、災害現場で手軽に使える液体ミルクの必要性を強く感じ、ミルクを扱うメーカーとしてやるべきだと考えたそうです。
そして、まだ国内では液体ミルクの製造・販売が許可・承認を得ていない中、手探りで研究を進めました。何度も試作や工場テストを繰り返して、厚生労働省や消費者庁に何度も足を運び、ようやく製造・販売が許可されるようになったんです。
実は甘い? 液体ミルク
続いて、気になっていた「味」。実際に液体ミルクを飲んでみると、練乳のような甘さがありました。実は、母乳と同じような甘さにあわせたもので、乳糖といわれるミルク本来の糖分が入っているそうです。
こだわったのは味だけではありません。開発当初の液体ミルクと、研究の末に生まれたものでは色が違うんです。
開発当初は、高温で長時間加熱するレトルト殺菌という方法を採用していたので、少しこげた色になっていました。でも、白いほうが、親が安心して赤ちゃんにあげられるのではないかと考え、超高温で短時間で殺菌する方法を開発し、粉ミルクのような白さを実現しました。もちろん、着色料は入っていません。
常温での長期保存のために
最後に気になるのが「賞味期限」。この液体ミルクは、常温で6か月保存できます。保存料は一切入っていません。
その秘密は、紙パックにあります。6層構造になっていて、光と酸素を遮断します。この紙パックに、超高温・短時間殺菌したミルクを無菌の環境で入れることで、長期間の保存が可能になるのです。
常温での長期保存は、災害時にも活用してほしいと願った永富さんが特にこだわったポイントでした。
専用の乳首を取り付ければ、哺乳びんがなくても、そのまま赤ちゃんにあげることもできます。
これだけメリットの多い液体ミルクも、日本ではまだ一般的ではありません。永富さんは、もっと液体ミルクの安全性や利便性をパパ・ママに伝えていきたいそうです。
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