熱があったり、食欲がなかったり。子どもの体調が悪いとき、何を食べさせればいいのでしょうか。また、食べさせないほうがいいものはあるのでしょうか。病気のときの食事にくわしい、細田明美さん(管理栄養士)に教えてもらいます。
今回は、せきやのどの痛みと、口内炎のときの食事です。
講師: 細田明美(東京医療保健大学 講師/管理栄養士)
医療監修:草川功(聖路加国際病院 小児科 医長)
せき・のどの痛みのときのポイント
せきがひどく、のどが腫れているときは、飲み込むのもつらいことがあります。こまめな水分補給で、のどを潤し、乾燥させないようにしましょう。
熱すぎるもの、冷たすぎるもの、塩辛いもの、酸っぱいものなど、粘膜を刺激する食べものは避けてください。
食べやすいものは、やわらかくなめらかなものなど、のど越しのよいものです。粘膜を強くするため、ふだんからビタミンA・ビタミンCをとっておきましょう。
大根あめとあんずジャム
大根やあんずは、のどやせきの症状に効く食材です。大根やあんずを使った、保存もできるメニューを紹介します。
大根あめ
大根はビタミンCが豊富で、炎症を抑える作用もあります。
<材料(作りやすい分量)>
- 大根※1
- 約5cm(80gぐらい)
- 水あめ※2
- 80g(大根がかぶる程度)
※1 大根は、葉に近い部分を使うとより効果的です。
※2 大人や1歳以上の子には、殺菌作用のあるハチミツを使ってもよいでしょう。
<作り方>
大根をよく洗い、皮ごと1cm角のサイコロ状に切ります。
容器に大根を入れ、大根がかぶるぐらいの水あめを入れます。
そのまま、冷蔵庫で2~3時間寝かせたらできあがりです。
※冷蔵庫で2~3日、保存できます。
さらさらになった汁を、スプーン1〜2杯そのままなめると、のどの痛みに効きます。
さ湯で割って飲んだり、ヨーグルトにかけたりしてもいいですね。
あんずジャム
あんずは、のどの痛みを緩和し、せきやたんを静める効果があります。生では手に入りにくいあんずも、栄養が凝縮されたドライフルーツなら手軽に作れます。
<材料(作りやすい分量)>
- ドライアプリコット(乾燥あんず)
- 100g
- 水
- 150ml
<作り方>
ドライアプリコットと水を鍋に入れて、3~4時間、やわらかくなるまで漬けます。
※状態を見て時間を調節してください。ひと晩漬けてもよいでしょう。
火にかけて、さらにやわらかくなるまで弱火で煮ます。
※1歳以上の子には、ハチミツ10gを入れてもよいでしょう。火にかける前に加えてください。
水分が途中で少なくなったら足して、焦げつかないように注意してください。
やわらかくなったら火を止め、フォークで粗めのペースト状にします。
※ミキサーやブレンダーなどを使うと、なめらかなペーストになります。
保存容器などに移し替えたらできあがりです。
※冷蔵庫で2〜3週間、保存できます。
※砂糖50gを加えて煮ると、日持ちがよくなります。
さ湯で溶いてあんずジュースにしたり、ヨーグルトにかけたりしてもいいですね。
れんこんのすり流し
れんこんは、のどの炎症を抑え、せきを鎮める効果もあります。
すりおろして汁物にすると、食べやすいですよ。
<材料(作りやすい分量)>
- れんこん
- 50g
- だし汁
- 2カップ(400ml)
- みそ
- 大さじ1
- ねぎ※
- 適量
- しょうがすりおろし※
- 適量
※3歳以上の場合は加えてみましょう。
<作り方>
れんこんの皮をむいて、水にしばらくつけてから、すりおろします。
だし汁を火にかけ、煮立ったら弱火にして、すりおろしたれんこんを加えます。
とろみがつくまで煮て、みそを溶き入れて味をととのえたらできあがりです。
3歳くらいからは、ねぎ・しょうがを加えると、さらにのどによくなります。お好みで、しょうゆと塩でおすましふうの味付けにしてもよいですね。
口内炎のときのポイント
手足口病などの感染症のとき、口の中に腫れ物や口内炎ができて、口が開けづらくなったり、かむと痛くなったりすることがあります。
口の中が痛くて食べられないときは、刺激が少なく、かまずに食べられるもの、少量でも栄養価が高いもの、のどごしがよくなめらかなものを食べさせましょう。
ツナのテリーヌ
テリーヌは少量で栄養がとれて、口の痛みで食欲がないときにおすすめです。
<材料(作りやすい分量)>
- ツナ(油漬け)
- 1缶(固形量135g)
- ゆで卵
- 1個
- たまねぎ
- 30g
- パセリ
- 少々
- マヨネーズ
- 大さじ2
- 塩
- 少々
- 牛乳
- 100ml
- 粉ゼラチン
- 5g
<作り方>
ゆで卵、たまねぎ、パセリは細かいみじん切りにします。
たまねぎは、電子レンジで1分30秒~3分ほど加熱して冷ましておきます。
※電子レンジの機種によって加熱時間を調整してください。
80℃に温めた牛乳にゼラチンを振り入れ、よく混ぜて溶かし、冷ましておきます。
ボウルに、油分を切ったツナ・ゆで卵・たまねぎ・パセリを入れてよく混ぜます。
さらにゼラチンを溶かした牛乳を加え、よく混ぜ合わせます。冷凍している離乳食野菜など、お好みで少量加えてもいいですね。
※ミキサーなどを使うとラクになめらかになります。
型や器に流し入れ、冷蔵庫で冷やし固めます。
これで、できあがりです。
ライス入りポタージュ
ミキサーやブレンダーを活用した、栄養満点のなめらかメニューです。
ごはんのとろみでのどごしがよくなり、かまずに野菜と炭水化物がとれます。
<材料(1人分)>
- ごはん
- 30g
- 野菜※
- 40g
- バター
- 2g
- 水(または野菜スープ)
- 80ml
- 牛乳(または豆乳)
- 80ml
- 塩
- 少々
※野菜は、にんじん・たまねぎ・大根・かぶ・キャベツ・白菜・ほうれん草・小松菜などを使ってください。
<作り方>
野菜は、繊維を断つように切ります。
にんじん・たまねぎ・大根・かぶなどは薄切り、葉もの野菜はざく切りにします。
ほうれん草・小松菜などの青菜はさっとゆでておきます。
鍋にバターを入れて火にかけ、野菜を炒めます。
バターがなじんだら、水(または野菜スープ)を加えてふたをし、やわらかくなるまで煮ます。
ミキサーに、野菜と煮汁、牛乳、さっと洗ったごはんを入れ、なめらかになるまで回します。
鍋に戻して再び加熱し、ひと煮たちさせてとろみがついたら塩で味をととのえます。
これで、できあがりです。
小さい子は、冷ましてからあげましょう。
子どもは、のどや、口の中が痛いと、食べることを嫌がります。飲み込んだりかんだりするときに負担が少ない、なめらかなものから食べましょう。
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