私が病気になったら子どもをどうしたらいいの? 離れて住むもうひとりの親のこと、どう説明したらいい? そんなシングル親の子育てについて、専門家と一緒に考えます。
専門家:
赤石千衣子(NPO法人 しんぐるまざあず・ふぉーらむ 理事長)
福丸由佳(白梅学園大学 教授/臨床心理学)
今回のテーマについて
赤石千衣子さん
シングルで子育てをしている方には、ひとりで頑張らなくてもいいよ、と言いたいです。過度に自分の責任だと思って、頑張り続ける方がとても多いのです。今回の話を聞いて、誰かに頼ってみようと思ってもらえるとうれしいです。
福丸由佳さん
シングルになる、ならないも含めて、親御さん自身がとても悩んで葛藤していることが多いと思います。家族にはいろいろな形があります。これが「正解」と言えるものはありません。そんな大きなテーマだと思います。
もうひとりの親のこと。子どもにどう伝えたらいい?
離れて暮らすパパに会いたいと言われたら、どう答えたらいい?
ひとりで子どもをちゃんと育てられるのか心配…
子どもは子どもなりに、親の頑張っている姿を見ている
福丸由佳さん
私の研究室には、これまでいろいろな家庭の事情を持つ学生がいました。シングルで寂しかったという人もいれば、そんな子どもの気持ちがわかるから保育者になって寄り添いたいという人もいます。子どもは子どもなりに、親の頑張っている姿をしっかりと見ている、と思います。
ひとりで頑張らないで!
赤石千衣子さん
多くの方が、新型コロナで生活が大変になっています。私たちは、そんな方々を支援する活動をしていますが、ぜひ、助けを呼んでほしいのです。本当に「助けて」と言ってほしい、伝えてほしい、と思っています。今は、本当に大変な時代だから、「ひとりで頑張らないで」と言いたいのです。とても大事なことなんです。
「しんぐるまざあず・ふぉーらむ」では、電話やメールでのご相談も受け付けています
シングルの子育てでは、人に頼ることが大事です。最後に、元夫と協力して子育てをしているママの話を伺いました。
小学3年生の息子と2人で暮らしています。2年前に離婚しましたが、今も元夫と共同で子育てをしています。
離婚時に、月に2〜4回会う取り決めをしていたものの、はじめはなかなか話すこと自体が難しい状態でした。でも、元夫から「困ったことがあったら、何でも、いつでも言っていい」と歩み寄りの姿勢を示してもらえて、私の心境も変わってきたんです。
それからは、週に1回以上、息子はパパに会いに行きます。パパは息子の勉強をみてあげたり、習い事の送迎をしたり、私の用事があるときは息子を預かってくれたり。ときには、3人で食事をすることもあります。
元夫は「離れたことで夫婦ゲンカがなくなり、子どもにとってよかったと思う。お互い感謝する機会が増えた」と言います。
子どもと2人だけで暮らしていると、どうしても1対1の関係に煮詰まってしまうことがあります。そんなときは、元夫に連絡ができるので、精神的にもとても助かっています。
頼れる誰かがいることで、子どももシングルの親も楽になれる。負担を抱え過ぎず、子どもも親も笑顔でいられるよう、上手にまわりの人に頼ってくださいね。