子育ての疲れ(1)家事・育児と仕事の両立
子どもはかわいい、でも子どものペースに振り回されたり、言うことを聞かなかったりして、疲れてしまう…… そんな悩みが、多くの親から番組に寄せられました。そこで、親子の心理を研究してきた大日向雅美さんに話を伺います。
今回のテーマは「家事・育児と仕事の両立」です。
専門家: 大日向雅美(恵泉女学園大学 学長/発達心理学)
子育てに疲れている方へのメッセージ
親が育児の適性を持っている、特にお母さんに対してそのようなイメージがありますが、その前提自体がおかしいと思ってください。「子育ては疲れて当たり前」と考えて、自信を持って自分自身を認めてほしいと思います。
(大日向雅美さん)
あっという間に時間が過ぎ、疲れを感じる
—— 働きながら子育てをしています。子どもを保育園から連れて帰ると、3時間ほどの間に、バタバタと家事をしながら子どもの世話。毎日があっという間に過ぎていき、疲れを感じます。
子育てと仕事のバランスを考えて、合わせて100になればいい
大日向雅美さん 「両立」というとき、両方とも100点をとらなくては、という印象があるかもしれませんが、合わせて100%になる「バランスシート」だと考えてみてください。子育てと仕事を、それぞれに時間と心をかける割合でみてみるのです。 例えば、子どもが小さく手がかかる時期は、子育てと仕事の割合を7:3にする。でも、子育てがひと段落したら、仕事の割合を増やしてみる。バランスシートは、子どもの年齢や働き方などに応じて、変えていくことができます。 あるいは、パートナーがいれば、夫と妻で役割を固定しないで、2人で100になるように考えてみる。「今日は妻が仕事を多めに、夫は子育てを」など、それぞれの事情にあわせて、バランスをとりながら乗り越えてほしいですね。
テレワーク… 仕事と子育てを同時にできない!
—— テレワークをしながらの家事・育児。仕事をしないといけないけど、子どもは親を頼ってくる。両方を同時になんてできません……
子育て家庭のテレワークは、かなり難しい
大日向雅美さん 子育て中の家庭でのテレワークは、子どもと同じ空間で仕事をすることになり、かなり難しいと思います。仕事は、合理的に、効率的に、ミスなく行うことが求められます。一方で、子育ては、まったく逆です。それを同時に同じ空間で行うこと自体に無理があるのです。社会や職場は、その点をもっと理解してほしいですね。
1日の働き方を、家族で話し合う
大日向雅美さん 大変なテレワークを乗り切る方法のひとつとして、1日の予定の中に、絶対仕事に集中したい時間をつくってみてはどうでしょう。例えば、その1時間は、パートナーや他の人に子どもを頼んでみる。そして、仕事の時間が終わったら、きちんと子どもと関わる。 あるいは、子どもも2〜3歳ぐらいになれば、1日の生活を一緒に企画してみるのもいいですね。「明日の朝10〜11時、ママは仕事、そのときあなたはビデオを見ていいのよ、その後は、ごはんを食べて、お散歩に行こう」など、家族で話し合うのです。子どもを生活の同志として扱ってみてはどうでしょう。
仕事と子育ての両立は、どんな人にとっても大変なこと。長い目で見てバランスがとれればいい、というくらいの気持ちで、無理せず、まわりの手も借りながら乗り切っていってください。
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