子どもをきつく叱ってしまうことがある、私は厳しすぎるのかもしれない…… そんな悩みが、多くの親たちから番組に寄せられています。そこで、親子の心理にくわしい大日向雅美さん、教育学が専門の汐見稔幸さんにお話をうかがいました。
専門家: 大日向雅美(恵泉女学園大学 学長/発達心理学) 汐見稔幸(東京大学 名誉教授/教育学)
—— 子どもの将来を考えて、いろいろな習いごとをさせていると、子どもにとって多すぎではないか、要求が厳しすぎではないか、と思うことも。「子どものために」という気持ちが、強すぎるのでしょうか。
「子どものために」自体は悪いことではない。引き際も大事
大日向雅美さん 「子どものために」と思うこと自体は、悪いことではありません。この気持ちがあってこそ、子育てがスタートできると言っていいほどの、子どもへの親の愛情です。一方で、子どもは、親の思い通りには動かないものです。 この2つを忘れないことが大切です。子どものためにと思ったことでも、この子には必要ないかもしれない、いい効果はないかもしれない、嫌がっているかもしれない。そう感じたら、親も子どもも誰も悪くない、子どもと習いごとの相性の問題だと言って引き下がれます。引き際も大事なんです。
子ども自身がやりたいことを見つける、それを応援するのが子育て
汐見稔幸さん
子どもが、たった1回の人生で、「○○にかけてみよう」「○○をもっとやろう」と言えるものを見つける —— それを応援するのが、子育てだと思います。子どもをよく観察して、何に興味があるのかを感じとって、「○○をやってみよう」と後押ししながら応援することが、子どものためになります。
子どもの興味を無視して、親が「○○ができるようになってほしい」と思って、子どもに要求して、空回りしてしまったら、それは親が自分のためにやっていることになります。
人間は、「面白い」などの感情が動かないと身につかないことがわかってきています。感情が動いていないと、表面的なものしか身につかず、やがて脳の結びつきも消えてしまうのです。
習いごとをたくさんさせることが、絶対に間違っているとは言いません。ですが、子どもが、自分で「○○をして遊ぼう」「○○ちゃんと遊ぼう」というように、自分で選ぶことができる豊かな自由時間を残してほしいと思います。子ども自身が選べる余裕を残すことで、子どもは伸びていけると思います。
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