子どもをきつく叱ってしまうことがある、私は厳しすぎるのかもしれない…… そんな悩みが、多くの親たちから番組に寄せられています。そこで、親子の心理にくわしい大日向雅美さん、教育学が専門の汐見稔幸さんにお話をうかがいました。
専門家: 大日向雅美(恵泉女学園大学 学長/発達心理学) 汐見稔幸(東京大学 名誉教授/教育学)
自分が厳しすぎると思ったら
あなただけではない
汐見稔幸さん いまの時代、多くの親が、子どもに対して怖い感じで叱っています。 もし「私はカッとなりやすいかも」と思ったなら、それは、あなただけではないのです。まずは、そのことをよく知ってほしいと思います。
特殊な関係性で厳しくなりがち
大日向雅美さん 本来、親と子は別の人格ですが、母と子は心理的な距離感がとりにくい傾向があります。そんな母と子の特殊な関係性のために、厳しくなりやすいことがあります。
なぜ、厳しくなってしまうのか
—— 何度教えても靴下が履けないなど、まだ小さな子はできなくて当たり前のことを、「どうしてできないの?」とイライラしてしまう。なぜ、こんなにも厳しくなってしまうのでしょうか。
自分の子どもへの期待は高くなるもの
汐見稔幸さん 親は、自分の子どもへの期待を高く持ってしまうものです。他の子どもであれば気にならない場合でも、自分の子どもができなかったり、周りの子より遅れていると感じたりすると、必死に教えようとします。でも、すぐに子どもができるわけではないので、「どうしてできないの!」と怒ってしまいやすい。これは親の常なんです。
先が見えず、自信が持ちにくいことも
汐見稔幸さん 以前は、子どもが大きくなったら、地域産業の仕事に就いたり、家業を手伝ったり、勉強が好きであれば学業に進んだり、将来がある程度みえた中で子育てをしていました。 でも、今は未来の社会がどのようになるのか、想像することが難しいですよね。親と同じ道をたどってもだめかもしれない、そんな情報もたくさん目にします。 子どもへの期待が高くなる一方で、自分の育て方への自信を持ちにくく、余裕を失いがちな事情があると思います。
親子で少し気持ちの距離をとる
大日向雅美さん 私は、孫にたいしては「できても、できなくても子どもだからね」と思えました。子どもとの心理的な距離をとりやすかったのです。でも、自分の子であれば、子どもができないことへの責任を感じてしまうでしょう。厳しくなり過ぎないためには、このような親子の距離感が大切だと思います。例えば、ある程度までは親が努力する、その先は子どもに任せるくらいの、ゆとりが持てるといいですね。 それでも、はじめての子や、二人きょうだいだと、なかなか難しいと思います。そんなときは、「私はまだ新米だから怒りやすいんだ、しかたない」「まぁいっか」と考えてみましょう。そんな自分を許す言葉も大事だと思います。 つらくなってきたら、これまでよりも少し気持ちの距離をとって、子どもと向き合ってみてください。
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