道具を使って食べたり、着替えをしたり、子どもにとって器用に体を使うことは難しいものです。遊びを通して、楽しみながら体の使い方を身につけていきましょう。
まっすぐ立っていられない、姿勢が崩れやすいなど、子どもの姿勢で気になる悩みはありませんか? 今回は「姿勢を保つ」ための土台を育む遊びです。
講師: 高畑脩平(白鳳短期大学 講師/作業療法士)
マットの斜面のぼり
傾斜をつけたマットを登る遊びです。よじ登るときに、手や足で体重を支えたり、おなかの筋肉を使って体幹を支えたり、からだ全体を使う必要があります。このような重力にあらがう動きは、姿勢の発達につながるといわれています。
※安全に配慮して遊んでください
重力と姿勢の発達
重力は、常に地面の方向に働いています。体に働いている重力に対して、押し返す方向に筋肉の力が働いて、まっすぐ立つことができています。
人の体は、寝ている状態から、おすわり、2足歩行へと発達していきます。重力にあらがって体を起こすように発達していく中で、徐々に姿勢が保てるようになっていくのです。
また、姿勢を保つためには「体のバランス感覚」も必要です。
体が傾いたときに、元に戻そうと筋肉が反応します。無意識に筋肉が反応することで、私たちはバランスを保つことができるのです。
箱押し
ここでもうひとつ、姿勢を保つ土台を育む遊びを紹介します。
段ボール箱を両手で持って、押しながら前に進む「箱押し」です。ただ箱を押すだけですが、子どもたちはとても盛り上がります。
手で体重を支える遊びは、肩甲骨や首、体幹の筋肉の活動性を高めることにつながります。段ボール箱の中に人が入ったり、水入りペットボトルを入れて重くすることで、よりしっかりと踏ん張る必要がでてきます。反対に、軽い段ボール箱を押す動きは、滑りやすい段ボール箱に合わせてバランスをとる必要がでてきます。
主体性・試行錯誤・達成感のサイクルが大切
できないことを何度も練習させるのではなく、楽しみながら体を使うことで、器用な動きを身につけていきましょう。
まずは、やってみたいという気持ち(主体性)にはじまり、ああでもないこうでもないと試行錯誤して、できたときの「達成感」が感じられる。そして、次をやってみようという気持ちが出てくる。このサイクルを大切にしてください。
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