子ども同士の遊び、大人はどう関わる?

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2019/12/28

出典:すくすく子育て[放送日]2019/12/28[再放送]2020/01/04

子どもだけではなかなかうまく遊べない、遊びが広がらないときには、大人はどう関わればいいのでしょうか。具体的な場面を見てみましょう。
今回、初対面の5人の子どもたち(3~5歳)の砂遊びの場面を観察してみました。
5人が遊んでいるところに、汐見稔幸さんが入っていきます。

「おじさんも入っていい? 一緒に遊びたいんだ」と言うと、「いいよ」と入れてくれました。
しかし、汐見さんはすぐに一緒に遊ぶのではなく、まずは子どもたちの様子を見守ります。

子どもたちはそれぞれ、「ケーキを作りたい」「電車を作ろう」など、いろいろとアイデアを出し合っているのですが、意見はバラバラで一つの遊びに結びつきません。

それぞれ、何をやりたいかのイメージが少しずつ違うわけです。そのストーリーを自分たちで少しずつ形にしていこうとしている。そこでは、大人はじっと見守りながら少し待ってあげるとよいですね。そのうち、だんだんと子どもたちのイメージが膨らんできます。膨らめば膨らむほどストーリー性が豊かになっていきます。もっと面白くしてやろうと大人が下手に介入してしまうと、子どもは自分たちでストーリーを作っている感じがなくなってしまうのです。
(汐見さん)

15分ほどそのような状態が続き、ようやく一人の男の子のアイデアで遊びの流れが変わりました。
「あ、なんかタイヤがある!」
みんなが協力してタイヤを集めはじめます。そして、タイヤを積み重ねると⋯⋯。
「ねえ、おっきいケーキ作ろうよ!」
子どもたちがイメージを共有しはじめたようです。

子どもたちがイメージを共有できたところで、「じゃあちょっと、おじさんも手伝おうかな」と言って、ようやく汐見さんも手伝いはじめました。

順調にケーキ作りが進むなか、ここでトラブルが起こりました。
バケツの取り合いになってしまい、一人の子が砂場を離れて遊び始めました。
しかし汐見さんはけんかの仲裁もせず、一人ぼっちになった子どもをそっと見守っています。

みんなと一緒に遊ぶのがとても好きなタイプの子もいますが、とにかく自分のペースで遊びたい、人に邪魔されるのが嫌なタイプの子もいます。半分はちょっとみんなのところにも行きたいのですが、自分のペースで遊べないのではないかと思うと、少し引いてしまうんですよね。でもそういうときには、まず、”一人で遊びたい”という気持ちを認めて満たしてあげることです。無理強いしないことが大事だと思います。やがて、みんなと遊ぶのは楽しいということをどこかで学ぶと思いますよ。
(汐見さん)

最後には大きなケーキが完成! 子どもたちは「ケーキ富士山」と呼んでいました。

大人の役割は、子どもたちとの適当な距離を守り、温かく心の中で応援してあげることです。楽しそうに見守っている大人がそばにいるだけで、子どもたちの心に何か落ち着きが出てきます。子どもだけだとちょっとトゲトゲしくなるときも、大人が一人いることで収まっていく。求められたときに手伝ってあげるのはよいのですが、子どもたちが求めていないときによかれと思って手伝ってあげたり遊びを誘導してしまうと、子どもが主人公の遊びではなくなってしまいます。
(汐見さん)

子どもの遊びは目的が決まっていない。プロセスを楽しむことが大事です。

コメント:河邉貴子さん

大人の行動のほとんどは目的があって、それに向かっていきます。でも、子どもの遊びは目的は決まっていません。大人はつい、「先にこうしたらいいのに」などと口を出したくなりますが、子どもが自分で考えてトライしている様子を見守って、「そうきたか!」と思うような意外なプロセスを一緒に楽しむことが一番大事だと思います。
「こうしたらいいのに」ではなく、「そうやったのね」「なるほど!」と、子どもの思いや行動を共感的に見ることです。そうしているうちに、こちらも、口を出したいのを我慢することもなく、子どもの遊びをとても楽しく見守ることができるようになると思います。

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