災害で起こる子どもの不安と心のケア(3)災害から数年後に起こる子どもの不安と心のケア
地震、台風、大雨、豪雪など、いつどこで発生してもおかしくない自然災害。そのとき、幼い子どもたちの心には、どのような影響がでるのでしょうか。そして親は、不安を抱えた子どもたちに、何をしてあげればいいのでしょうか?
東日本大震災のときに、乳幼児を抱えていたママたちの体験談を聞きながら、子どもの心のケアについて考えます。
1995年の阪神淡路大震災では、自らも被災しながら、子どもたちや家族の支援をおこなってきた倉石哲也さんにお話をうかがいました。
講師: 倉石哲也(武庫川女子大学 教授/臨床福祉学) 小さい子どもほど、不安を察知するものです。不安に対して敏感でないと生きていけないのです。
今回は、災害から数年後に起こる子どもの不安と心のケアについて考えます。
<当時、小学校1年生と1歳7か月の子どもを抱えていたママの体験談>
震災当時、小学校1年生だった長女は、人の死を身近に感じる経験をすることになりました。死に対する恐怖心があり、今でも津波の映像はまったく見ることができません。テレビなどで流れると見ることができないんです。できれば思い出したくないと思いますが、当時の記憶が消えていないようです。
実際に被災体験をしていない場合でも、子どもたちに災害の映像を見せるときには、子どもの状態の把握や映像を見せる必要性の判断など、さまざまな注意が必要だといいます。
子どもが、何が起きたかを知っておくほうがよいと判断したら、何を見せるのがよいかしっかり準備をしたうえで、子ども自身に見るかどうかを選択してもらうのもいいと思います。しかし、それでも繰り返し見せることは避けてください。 (倉石哲也さん)
一方で、被災体験が記憶として残るのは当然のことなので、心配し過ぎる必要はないそうです。
眠れなくなる、食欲がなくなることが続くようなことがなければ、当時のことを時々思い出すことは正常な反応です。ときには、ちょうど1年たった日や、友だちとの会話の中で影響を受けることもあります。子どもがきちんと食事をとれているか、学校から帰ってきてからの様子はどうかなど、ふだんから子どもを見守って、変化に気づけるようにしておきましょう。 (倉石哲也さん)
子どもが小さくて、震災当時の記憶が薄い場合、災害から数年たった後、「家族の中で知らないのは自分だけだ」という思いから、当時の話を聞きたがることがあります。そんな時、親はどう対応すればよいのでしょうか。
ひとつは、当時の大変さや怖さに共感してあげること。もうひとつは、「あなたも、パパとママと一緒になって乗り越えたんだよ。今は安心して生活できているよ」と、乗り越えたことをしっかり伝えることです。この2つのポイントはおさえておきましょう。 (倉石哲也さん)
不安や悲しみを受け止めながらも、今生きていることをしっかりと支える心構えが親には必要なのだそうです。
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