子どもの体の発達の面から「運動系の習いごと」について考えてみましょう。
例えば、人がボールを蹴るときは「ボールを目で見て、足を動かして、ボールに当てる」という動作を行います。このとき、目・脳・体にある神経に信号が伝わって、ボールを蹴ることができるのです。
大人の場合、神経の信号が伝わるスピードは、およそ時速200km/hといわれています。ところが、乳幼児の場合は、大人の3分の1のスピードです。3歳くらいの子どもは、基本的な体の機能や構造はでき上がっていますが、神経系の働きがまだ整っていないため、神経の伝達スピードが遅くなります。基本的な運動はできていても、まだ発達の途上なのです。
どんなに運動神経がいいと思う子どもでも、2~3歳ではできないことがあります。例えば、ピアノを速く弾くことは、生物学的・医学的にできないのです。そのほか、何秒か片足立ちでとどまることも、3~4歳の子どもにはできないのです。運動神経が成熟するまでには6~7年かかります。早くからいろいろな運動を経験させればできるというものではありません。 (お茶の水女子大学 名誉教授/小児科医 榊原洋一さん)
体ができあがってからでないと、できない運動もあります。
運動系の習いごとをさせるときは、体の発達段階も考えてみましょう。
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