子育てや家事、仕事で毎日が忙しく、誰かに助けてほしいときもありますよね。でも、人に頼ったら迷惑にならないか? 私が頑張ればいい… と思っていませんか? 「お願い上手」になる方法を一緒に考えましょう。
専門家:
倉石哲也(武庫川女子大学 文学部心理・社会福祉学科 教授/臨床福祉学)
吉田穂波(神奈川県立保健福祉大学 教授/産婦人科医)
子どものこと、お願いしたら迷惑じゃない?
相手とケンカにならないようなお願いのしかたを教えて!
子育てのしかたが違う相手に子どもをお願いすることが不安…
愚痴や弱音はどこで吐いたらいいの?
育休中で3歳10か月と4か月の女の子を育てている山口さん。以前は人にお願いすることがなかったけど、今は人に頼ることができるようになったといいます。それはどうしてなのでしょうか? お話をうかがいました。
山口さんは、パパの両親と2世帯住宅で暮らしています。子どもを両親にお願いすることもよくあるそうです。この日も、下の子を祖母にお願いしていました。祖母はよろこんで預かってくれるといいます。
下の子をお願いしたのは、赤ちゃんと一緒だと行けない場所に、上の子を連れて行くためです。長女に自然を体験させたかったのです。
お願い上手にも見える山口さんですが、以前は「自分で全部やりたい」と考えていて、あまり人に頼っていなかったといいます。そんな考え方が、第2子妊娠中のあるできごとで、大きく変わったそうです。
仕事の資料を作らないといけないのに、汚れた食器が山積みで、子どもは「寝なさい」と言っても寝てくれない。そんなイライラの上に、パパから「もっとうまくやれよ」と言われて、たまりにたまっていたものが弾けました。「こんなに頑張っているのに!」と涙を流して大げんかになって、プチ家出をしたんです。
その後、私も「このままではダメだ。2人だけで育てるのは大変だ」と思って、人に頼ろうと決めました。
(山口さん)
以前は、子育てで人に頼ると「母親失格では?」と考えることもあったけど、今では「お願いするのはいいこと」と考えるようになり、気持ちが楽になったそうです。そして、子どもに愛情を注いでくれる大人が、パパやママ以外にいることが、とてもありがたいといいます。
親が人にお願いする姿を子どもが見るのは成長につながる
誰かにお願いすることは、子どもの成長にとっても大事な側面があります。それは、大人が人にお願いする姿を、子どもが見ることです。その経験が、子ども自身が友だちに頼ったり、お礼を言ったりできることにつながります。子育てにとっても、子どもの育ちにとっても大事なのです。
(倉石哲也さん)
人に頼る境目を見極めるのも大人としての自立
私たちは、自分のことは自分でしないといけないと思いがちです。それが自立した大人だというわけです。でも、子育てや仕事に関しては、全部1人でやることが大人ではありません。ここまでは1人でできる、これはみんなでやる方がいいなど、自分ですることと頼ることの境目を見極めることが、本当の自立ではないかと思います。
(吉田穂波さん)