知っておきたい子どもの暑さ対策 -熱中症・紫外線・あせも-
40℃を超えるなど、各地で猛烈な暑さに見舞われている今年の日本列島。小さなお子さんのいるご家庭では、この猛暑の夏をどう乗り切ればよいか、心配が尽きませんね。
今回は、育児情報番組「すくすく子育て」「まいにちスクスク」から、熱中症、紫外線、日焼け止めの使い方、あせもなど、夏の暑さにまつわる心配事とその対処方法をまとめます。
熱中症予防
この時期、特に心配なのが熱中症です。子どもは体温調節機能が未熟で、熱中症になりやすいため、大人が注意深く様子を見てあげるようにしましょう。
意識して一定の間隔で水分補給を!
子どもの熱中症はとても危険です。子どもは大人よりも脱水しやすいので、たくさんの水分が必要になります。また体温の調節がうまくいかない場合は夕方から熱を出すこともあります。 子どもは夢中で遊んでいると自分でのどの渇きを訴えることも少ないので、大人が意識をして、一定の間隔で水分を与えるようにしてください。その他、なるべく日陰に入ったり、紫外線対策として帽子や服装にも気をつけたりするなど、熱中症予防に気を配りましょう。 (埼玉医科大学総合医療センター新生児部門 小児科医 加部一彦さん)
イオン飲料の作り方
熱中症予防に効果的とされるイオン飲料。市販の大人向けイオン飲料は糖分が多いため、乳幼児には甘すぎることがありますが、水で薄めてしまうと成分も薄くなってしまいます。そこで手軽に作れる、子ども用のイオン飲料の作り方を紹介します。
水 カップ5、塩 小さじ1/2(3g)、砂糖 大さじ4と1/2(40g)、レモン汁 少量
【作り方】
水に塩、砂糖、レモン汁を入れ、よく混ぜてとかす。(東京家政大学 管理栄養士 内野美恵さん)
熱中症予防には、イオン飲料のほか、カフェインの少ない番茶や麦茶、薄めた果汁、湯冷ましなどを少しずつこまめに飲ませましょう。
暑いときの寝かしつけ
熱帯夜には、寝かしつけにも苦労しますよね。子どもの快眠のためには、適宜、エアコンや扇風機を利用したいもの。体が冷えすぎないよう、工夫して使うようにしましょう。
エアコンや扇風機の風が直接当たらないように
子どもは夜、眠くなると体温が上がり、寝入りの頃にその熱を放出するためにいったん汗をかきます。そして、汗をかいたあと体温が一定になります。また夏場であれば、汗をかいてそのまま寝てもあまり心配はありませんが、エアコンや扇風機の風が直接当たると体温が下がりすぎる場合もあるので、寝室では、風が直接当たらないような向きに調節しましょう。 (聖路加国際病院小児科医長:草川功さん)
紫外線対策
日ざしが強い時期になると、気になるのが紫外線です。子どもの肌は大人のおよそ半分の厚さ。それだけバリア機能も弱いので、十分な紫外線対策が必要です。
紫外線は地域・季節・時間帯などによって変わる
紫外線の強さは、時刻や季節などで異なります。また、地域によっても違います。赤道に近い地域ほど、紫外線が強くなる傾向にあります。
気象庁のホームページで、地域ごとの紫外線の強さを毎日発表しているので参考にしてみてください。
スキンタイプ
紫外線によって受ける影響は、その人の肌のタイプによっても違います。
多くの日本人は、スキンタイプが「タイプII」から「タイプIV」の3段階に入るそうです。日焼けしたとき、黒くならず赤くなる人は「タイプII」、逆にあまり赤くならず黒くなる人は「タイプIV」、その中間は「タイプIII」です。 皮膚が白く、紫外線を浴びるとすぐに赤くなるような人は、紫外線に対する感受性が高く、紫外線の影響を強く受けるので、気をつけなければいけません。皮膚が黒いほうのタイプに属している場合は、メラニン色素がたくさんあります。これは、皮膚にメラニンのベールがあるようなものなので、皮膚の深いところまで紫外線が届きにくく、影響を受けにくくなる傾向があります。 (神奈川県立こども医療センター 皮膚科部長 馬場直子さん)
長時間日に当たるときは、自分の地域の紫外線の強さや、スキンタイプを気にかけてみるようにしましょう。
日焼け止めの選び方、塗り方
子どもに日焼け止めを使用する際に知っておきたい基礎知識です。確認しておきましょう。
SPFの数値の意味を知って選ぶ
日焼け止めに記載されているSPF・PAという表記は、紫外線を防ぐ指標のことです。数値が高いほど防御する時間が長くなりますが、肌への刺激も強くなる傾向があります。 SPFの数値は、SPF1あたり20分の日焼け防止効果があるということを表しています。SPF10だと200分です。子どもの場合は汗で流れたり、こすったりして効果が弱くなることもあるので、数値が高いものを使うより、10~20程度のものを使い、2時間で落ちると考えて塗り直すほうがよいでしょう。場面に合わせて使い分け
普段の外出にはSPF10〜20程度を選びましょう。アウトドアでのレジャーなど、日射しの強い場所に出かけるときにはSPF30以上を使うと安心です。海は特に紫外線が強いので、しっかり塗ってカバーしてください。ムラがないように2度塗る
日焼け止めクリームを塗るときは、まず手のひらに出し、それを額・ほっぺた・あごなどに指でちょんちょんと乗せて、まんべんなくムラのないように全体にのばします。塗りが1回だと、どうしてもムラができたり、薄すぎたりするので、2度塗りをすることも大事です。顔に塗る適量はパール1粒大
5歳くらいまでの子どもの場合、顔に塗る適量はパール1粒大くらいが目安です。塗るときは、肌にうっすらと白さが残るくらい。肌の表面に日焼け止めで膜をつくるようなつもりで、あまりすり込まないことがポイントです。 肌がデリケートなお子さんは、次のことにも気をつけましょう。 ・先に保湿剤を塗り、その上に日焼け止めを重ねて塗る ・赤ちゃん用(子ども用)で、「アレルギーテスト済み」「パッチテスト済み」と表記されたものを選ぶ ・日焼け止めは落ちにくく作られているので、帰宅したらていねいに石けんで洗い落とす 日焼け止めにはいろいろな種類があるので、目的別に上手に使い分けましょう。また子どもの肌との相性もありますので、まず前腕などに少量を塗り、かぶれないかどうか確かめてください。 (神奈川県立こども医療センター 皮膚科部長 馬場直子さん)
デリケートな子どもの肌。なるべく長袖を着る、帽子をかぶる、日焼け止めを塗るなど複数の対策を組み合わせることが必要です。幼いころからの紫外線予防を習慣にしておきたいですね。
あせも対策
大人に比べて体温が高く、元気に動きまわる子どもはとても汗っかき。放っておくとあせもができてしまいます。気になるあせもの予防と対処法についてまとめました。
汗腺を詰まらせないよう、汗をかいたらこまめにシャワー
汗が出てくる汗腺の数、実は大人も子どもも同じです。体の表面積が小さい子どもは、それだけ汗腺の密度が高くなります。隙間がなく、汗腺が窮屈な状態ですので、こまめにシャワーを浴びて肌を清潔に保つよう心がけましょう。汗をかいたら1日に何度でもOK。汗がたまりやすいわきの下、ひざの裏、頭などはとくにていねいに洗ってください。汗がついたままだと、肌の汚れといっしょに汗腺を詰まらせる原因になります。シャワーで汚れを流し、汗がスムーズに出るようにしましょう。ただし、石けんを使うのは1日1回まで。皮脂を取りすぎて肌のバリア機能が低下するのを防ぐためです。石けんを使うときはしっかり泡を立てて、ゴシゴシこすりすぎないようにしてやさしく洗ってあげましょう。外出時は濡れタオルを活用
すぐにシャワーを浴びられないときには、濡らしたタオルを活用しましょう。持ち歩くときは、タオルに保冷剤を包んで少し冷やしておくと汗が一気に引くのでおすすめです。タオルで拭くときは、額や首、わきの下など、汗のたまりやすいところから順番に。こするのではなく、冷たい濡れタオルでそっと押さえるようにしましょう。汗を吸い取ると同時に、肌を冷やすようなつもりで数秒くらいタオルを当てるとさらに効果的です。チャイルドシートやベビーカーでは汗のかき具合をチェック!
チャイルドシートやベビーカーに座らせているときには特に注意が必要です。体がシートに密着するため、気づかないうちに汗をかき、短時間であせもができてしまうことがあります。汗のかき具合をこまめにチェックしてあげましょう。あせもができてしまったら
あせもができた肌は、清潔を保ちつつ、薬を塗ってケアします。もしも赤いブツブツが増えてしまった、あるいはじゅくじゅくしてきた場合は皮膚科や小児科を受診しましょう。 汗をたくさんかき、しかも汗腺の密度も高い子どもの肌は、あせものできやすい条件がそろっています。外出中、そして外出後のこまめなケアで、暑い季節を乗り切りましょう。 (神奈川県立こども医療センター 皮膚科部長 馬場直子さん)
▼ こちらの記事もぜひご覧ください
PR