1冊の本が、自分を成長させてくれる。おとなでも、そんな本との出会いはうれしいものですね。
今回は、子どもにとってそんな1冊になるかもしれない、勇気や優しさを教えてくれる、成長する絵本を紹介します。
お気に入りのもの、友だちに貸してあげられる?
子育てをしていると、かならずと言っていいほど通る、“ものの取り合い”の悩み。「かして・いいよ」の気持ちを、今まさに伝えている最中という方にもおすすめなのが、『そらまめくんのベッド』です。
誰だって、自分の気に入っているものを譲るのには、勇気がいるし、独り占めしたいですよね。
「でも、もしみんなで仲良く使ったら、どんな気持ちになるのかな?」
そんな問いかけが心に湧いてくる、優しさを育む1冊です。
『そらまめくんのベッド』
作・絵:なかや みわ
出版社:福音館書店
(あらすじ)
そらまめくんの宝物は、ふわふわのベッド。だから、えだまめくんやグリーンピースたちが貸してと言っても、誰にも貸してあげません。ところが、そのベッドがある日突然なくなってしまって…
野球がじょうずで優しい「におくん」
ほんわかしたショート・ストーリーのなかに、人とつき合ううえでの大切なことが、ぎゅっと詰まっているのが『おにはうち』です。
「友だちにやさしくしなさい、仲良くしなさい」なんて、おとなが口うるさく言わなくても、子どもはちゃんと感覚的に、他人に対する優しさを身につけていくものかもしれませんね。そんな心の成長を応援してくれる、シンプルだけれど深いお話です。
『おにはうち!』
作:中川 ひろたか
絵:村上 康成
出版社:童心社
(あらすじ)
園庭の外に見慣れない子がいます。名前は「にお」くん。みんなと一緒に野球して遊んでいると、豆まきがはじまりました。
お兄さんお姉さんになるときの葛藤と成長
きょうだいが生まれて、お兄さんやお姉さんになる気持ちは複雑です。その複雑な時期の成長を、ユーモアと優しさに満ちた世界観で表現したのが『フランシスのいえで』。1972年発行の作品が、2014年新装版として生まれ変わりました。
妹が生まれたら、「いろんなことがおもうようにいかなくなった」ので、台所のテーブルの下に家出したフランシス。そのチャーミングなキャラクターと、「フランシスがいてこそ、うちはうち」と話す両親のあたたかさに、思わず笑顔がこぼれてきます。
『新装版 フランシスのいえで』
作:ラッセル・ホーバン
絵:リリアン・ホーバン
訳:松岡 享子
出版社:好学社
(あらすじ)
フランシスに妹が生まれました。なぜだか淋しくなったフランシスは、ある夜家出を宣言して、台所のテーブルの下に隠れます。そこでパパとママの話を耳にしたのです。
主人公と自分を重ね合わせて大冒険
どんなに泣き虫でも甘えん坊でも、ママやパパに守られているだけの世界から、いつかは巣立っていく時がきます。その最初の1歩を見ているような気持ちになるのが、『こんとあき』です。
不安なあき、困っているあき……どのページのあきも、わが子を見ているようでドキドキしてしまうのは、表情やしぐさなど、林明子さんの描写のすばらしさゆえ。子ども自身も、あきと自分を重ね合わせてしまうようで、最後にはきっと、誇らしそうな表情で絵本を閉じることでしょう。
(あらすじ)
こんは、おばあちゃんが作ったキツネのぬいぐるみ。ある日腕がほころびてしまったこんは、なかよしのあきとふたりで、おばあちゃんに会いに行くことになりました。
絵本を読んでいると、主人公と一緒に、さみしさ、うれしさ、勇気など、いろんな気持ちを経験できます。絵本が心を育むといわれる理由は、そこにもあるのかもしれません。
たくさんの物語でたくさんの気持ちを味わい、心を豊かに耕していきたいですね。
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