ことばの大きな役割は、人とつながり、心を通わせるコミュニケーションの働きです。そして、ことばを育てるためには、コミュニケーションしたいという気持ちが大事になります。でも、この気持ちを育てるためには、どうしたらいいのでしょうか。
子どもたちが遊んでいるとき、大人がどう関わればよいのか、そのポイントを久保山茂樹先生(国立特別支援教育総合研究所 総括研究員 臨床発達心理士)に聞いてみました。
集中して遊んでいるとき
子どもが夢中になって遊んでいるときは、自分のイメージをしっかりと持っています。
このときに声をかけると、動きが止まったり、自分のイメージと違うことで声をかけられたりして、「つまんないな」となってしまいます。
遊びに集中しているときは、声をかけずに見守りましょう。
思い通りにならないとき
自分の思い通りにならなくて、おもちゃをグチャグチャにして、思わず声が出てしまうようなときがあります。イメージを持って遊んでいたのにうまくいかず、思わず声が出てしまう。そんなときは、その気持ちを大事にして共有しましょう。
親に目を合わせないとき
親と一緒に遊んでいるとき、親に目を合わせないことがあり、気になるかもしれません。でも、子どもは、本当に伝えたいとき、伝えたいことがあるときは、大人の目をしっかりと見ます。必要なときには、子どもから目を合わせてくるので、それを待ってあげましょう。
遊びながら声をかけるときは、短いことばで、ゆっくりと優しく話しかけるといいですね。
おままごとのとき
おままごとで、おもちゃの包丁でおもちゃのニンジンを切る、切ったニンジンをお人形に食べさせてあげる。それができるのは、何が道具で、何が食べものなのかよくわかっているからです。このように、音声のことばが出る準備として、意味の理解ができるようになるのはとても大事なことです。
子どもの行動をことばに代えていくことも、大事な関わり方だと思います。
例えば、おもちゃの電子レンジで遊んでいたら「チンしてくれるの?」など、声をかけてあげましょう。
子どもは、成長にともなって、ことばを使って考えたり、学んだりするようになります。さらに成長すると「このおもちゃで遊ぼう!」「これは触っちゃダメ!」など、ことばの力で自分の行動をコントロールできるようになります。そのようなことばの発達につながる最初の一歩が “コミュニケーションする”ということです。
子どもは、子どもなりに“表現したい気持ち”があります。大人は、その気持ちを大事にして、しっかりと受け止めましょう。その繰り返しの中で、コミュニケーションしたいという気持ちが育まれていくのです。
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